救い主の誕生

序

　クリスマスはイエス・キリストの誕生をお祝いするものです。今から約2千年前、ローマ皇帝が全世界の住民登録をせよとの命令を下しました（ルカ2:1）。そのため、ナザレに住んでいたヨセフと婚約者のマリアは、自分たちの出身地であるベツレヘムに帰らなければなりませんでした。彼らがベツレヘムに着いた時、宿屋はどこも一杯で、やむを得ず、宿屋の馬小屋に泊めてもらいました。その夜、マリアは馬小屋で出産しました。その生まれた子どもが救い主イエス・キリストです。

　ベツレヘムで羊飼いたちが、夜、野宿をしている時、御使いが現れ「大きな喜び」（ルカ2:10）を知らせてくれました。それは飼葉桶で寝ておられる救い主イエス・キリストの誕生です（2:12）。

　キリストとは「救い主」という意味で、罪からの救い主です。人間は天と地を造られた神から離れているので、心は寂しく満足はありません。しかし、イエス・キリストは世の光ですから、イエス・キリストを信じる時に、人生は暗闇から光へ、寂しかった日々は大きな喜びに変えられます。

　ミカ書には、救い主がベツレヘムに生まれると預言されています（ミカ5: 2）が、その預言通り、イエス様はベツレヘムでお生まれになったのです。

1.背きの罪（ミカ1:1～5）

　「モレシェテ人ミカにあった主のことば。これは、ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、彼がサマリアとエルサレムについて見た幻である。」（ミカ 1:1）

　ミカは南ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に預言しました。ヨタムと、ヒゼキヤは良い王でしたが、アハズは悪王でした。ミカの故郷のモレシェテは、ガテに近いペリシテの国境地方にありました。彼はイザヤ、ホセアと同じ時代の預言者でした。1章1節では、ミカがサマリア、すなわち北イスラエルと、エルサレム（南ユダ）の両方の国に預言したことが記されています。

　2～4節は、全世界に対して、主が聖なる宮から来て証言され、山は溶け、谷は裂けると語られています（4節）。5節以降がその理由です。主が北イスラエルと南ユダを裁かれるのは、その罪のためであると告げられています。

　本来、神の民イスラエルは、全地を祝福する神の器として召されました。しかし、今その罪のために神の裁きを示すものとなりました。私たちキリスト者は、このイスラエルの失敗の後に立てられた全地を祝福する神の器です。自分はそのように用いられているでしょうか。「この基準にしたがって進む人々の上に、そして神のイスラエルの上に、平安とあわれみがありますように。」（ガラテヤ6:16）この基準とは、十字架だけを誇る生き方です（6:14）。

2.主からのわざわい（ミカ1:6～16）

　6、7節で、主は北イスラエルの首都サマリアを廃墟とすると告げました。それが、乱れた性の儀式を伴った偶像礼拝への裁きであると示されています。私たちは罪と手を切らなくてはなりません。ミカは、預言の言葉の実現を見ました。紀元前734年、アッシリア軍はイスラエル北部の全住民を捕らえ移し、紀元前722年サマリアは「野にある瓦礫の山」（6節）、廃墟となりました。

　8～16節はユダへの裁きの宣告です。主はエルサルムまでが裁きを受けなくてはならないと嘆かれました（9節）。10節は、ベテ・レ・アフラ（ちりの家）で、「ちり（アフラ）の中で転げ回れ」と言った、語呂合わせで語られています。

　イスラエルの偶像礼拝の罪がユダにまで及び、エルサレムの門まで達しているとミカは叫びました（12節）。シオンの娘にとって、「罪の始まり」（13節）はラキシュで、戦車に馬をつないだことです。ソロモンの時代、ユダはラキシュを通じて、エジプトから戦車と馬を輸入しました。主に頼らず、自分の力に頼って、自分の願いを押し通そうとしたからです。あなたはいつも主に頼っていますか。主に頼って歩みましょう！