神の賜物を燃え立たせよ

序

　II歴代誌22章には、「アハズヤの母アタルヤは、自分の子が死んだと知ると、ただちにユダの家に属する王の一族全員を滅ぼした」（10節） ことが記されています。 そして、アタルヤが6年間、国を治めました（12節）。しかし、「王の娘エホシェバは、殺される王の子たちの中からアハズヤの子ヨアシュをこっそり連れ出し、寝具をしまう小部屋にその子とその乳母を入れた」（11節） ので、王子ヨアシュは守られました。

　これは、ダビデの家系を守り通す神の真実さを示す一方で、信仰が、不信仰な人の影響によって、いかに容易に崩れ去るかを示しています。私たちは、この歴史から何を学ぶべきでしょうか。特に、祭司エホヤダの死後に信仰を失ったヨアシュと、パウロの訓練で自立したテモテの対比から、人頼りの信仰ではなく、常に神の賜物を燃え立たせ続けることの大切さを教えられましょう！

1.奮い立つエホヤダ、人頼りのヨアシュ（Ⅱ歴代誌23:1～24:16）

　「七年目に、祭司エホヤダは奮い立って、百人隊の長たち…を連れて来て、自分と契約を結ばせ」（23:1）、ヨアシュを王としました（11節）。エホヤダは、主の約束に基づいて（3節）、立ち上がりました。私たちも主の御言葉に従うには決断が必要です。私たちも良きわざのために、御言葉を握って決断し、奮い立ちましょう！

　ヨアシュが王位に着いた時、アタルヤはそれに気づいて「謀反だ」と叫びましたが、彼女を支持する者は誰もなく、殺されました（15節）。エホヤダはヨアシュを王と宣言し、すぐ民と主の間に「彼らが主の民となる」（16節）という契約を結ばせました。そして、国中から偶像のバアル礼拝を一掃し、主への礼拝を回復させました。主の宮の管理を定め、モーセの律法とダビデの指示に従って、レビ人の祭司たちに献げ物を管理させ、聖歌隊を回復し、門衛を宮の門に立てました。私たちもすべての偶像礼拝から離れ、積極的に奉仕し、仕えていくことが大切です。

　「ヨアシュは、祭司エホヤダが生きている間は、主の目にかなうことを行った。」（24:2）。主の宮を修繕することには、並々ならぬほどの情熱を傾けましたが、エホヤダの死後、ユダの首長たちが来て、王ヨアシュを拝むと（17節）、彼らの願いを聞き入れ、偶像礼拝（アシェラはバアルの配偶神、女神）に走りました（18節）。

　そして、エホヤダの子ゼカリヤが、神の霊に動かされ、それを戒めた時、王はゼカリヤを主の宮で殺してしまいました（21節）。イエス様はこの事件に言及し、ゼカリヤの血（マタイ23:35）を旧約時代、古い昔から各世代に流されてきた殉教者の血の最後のものとして尊ばれました（歴代誌は、ヘブル語聖書では、旧約の最後の書）。

　傲慢の罪は恐ろしい罪です。それゆえ、主はユダの国をアラムの手に渡されました。少数のアラムがユダの大軍を打ち破ったのは、主の裁きでした（II歴代誌24:24）。ヨアシュは戦いに敗れ、重病にかかり、人々に見放され、家来たちによって殺されました（25節）。主が悔い改めの声をかけてくださっている間に、悔い改めて主に立ち返ることが大切です（イザヤ55:7）。

2.力と愛と慎みの霊（Ⅱテモテ1:6、7）

　人頼りのヨアシュの失敗とは対照的に、パウロはテモテに次のように励ましました。「…神の賜物を、再び燃え立たせてください。神は私たちに、臆病の霊ではなく、力と愛と慎みの霊を与えてくださいました。」（Ⅱテモテ1:6,7） 神はテモテだけでなく、私たち一人一人に、人ではなく、御霊に頼るように語りかけておられます。

　御霊は、キリスト者を恐れや弱さに打ち勝たせ、福音の証を可能にさせます。その神の賜物は「力と愛と慎みの霊」です。イエス様は「聖霊があなた方の上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。」（使徒1: 8）と言われました。その力はイエス様を証する力です。また、「愛」とは神の恵みの賜物であり、「御霊の実」（ガラテヤ5:22） です。「慎み」と訳されている言葉は、自制心の意味ですが、どのような誘惑の中でも自分を維持することができるのは、この御霊の賜物の故です。また慎みは思慮分別を表します。平静で落ち着いた判断力と良識がそこに含まれています。私たちは、生けるキリストの証人として、人ではなく主に目を向け、聖霊の力を祈り求め、愛の炎が燃え上がるように、祈り求めていきましょう。すべての行動を、冷静な知恵によって吟味しつつ、奉仕に励みましょう！