みこころを求めて

序

　II歴代誌17章には、アサに代わって、彼の子ヨシャファテが王となり、イスラエルに対して勢力を増し加えたことが記されています（1節）。それは彼が、イスラエルのバアル（偶像）礼拝に対して、対決姿勢を取った故でしょう（3,4節）。主は彼の姿勢に答えて臨在を示し（3節）、国民の支持を得させ、王国を確立されました（5節）。彼は主に励まされ、高き所とアシェラ像を除きました（6節）。

　さらに高官たち、レビ人たち、祭司たちを、ユダの町々に派遣して、主の律法を教えさせました。御言葉を中心に据えた彼の姿勢が示されます。主は、その信仰に応えてくださり、王国に平安が与えられました（10節）。

1.みこころを求めて（Ⅱ歴代誌18:1～27）

　しかし、その後、彼は重大な過ちを犯しました。「ヨシャファテには富と誉れが豊かに与えられたが、彼はアハブと姻戚関係に入った」（1節） ことが記されています。

　ヨシャファテは長男ヨラムの嫁に、アハブの娘アタルヤを迎えました。アハブは王妃イゼベルにそそのかされて、偶像礼拝にふけり、暴虐の限りを尽くした悪い王です。ヨシャファテは信仰深い王でしたが、イスラエルとの戦いを避けようとした外交戦略の配慮からでしょう、アハブ家と縁を結びました。その結果は惨憺たるものでした。

　アハブ家と縁組みしたために、ヨシャファテはアハブのギルアデ奪還作戦に加わらなければならなくなりました（18:3）。ヨシャファテは「みこころを求めることのできる主の預言者」（6節） を提案して、アハブに対するミカヤの警告を聞きましたが、アハブが行くと言うので、それに逆らえませんでした。しかし、ミカヤの預言で不安になったアハブは、変装して行くことにし、ヨシャファテは王服を着て行くように、という指示に逆らえませんでした（29節）。ヨシャファテは敵の攻撃の的となり、取り囲まれましたが、主は彼の叫び求めを聞いて助けてくださいました（31節）。もし、ヨシャファテが初めから主に忠実に歩み、不信者と釣り合わないくびきを共にしなければ、こんな危険に陥ることはなかったのです。アハブは変装によって、敵に気づかれなかったのに、流れ矢に当たって死にました（33,34節）。主の言葉は必ず成就します。

　後にヨシャファテの子ヨラムが王になった時、彼はせっかく祖父と父が確立した主を信じる信仰を捨てて、ユダに偶像礼拝を持ち込みました（21:6）。さらに彼は自分の兄弟たちを殺しました。彼の死後、王妃アタルヤはヨラムの子どもたち（アタルヤにとっては孫）を皆殺しにして、自ら王となり、ダビデの血筋を絶やしかねませんでした（22:10）。この教訓は私たちに、まず主の御心を求めることの絶対的な重要性を示しています。

2.みこころが行われますように（マタイ6:10）

　イエス様は、主の祈りの中で「御国が来ますように。みこころが天で行われるように、地でも行われますように。 」（マタイ 6:10） と祈りなさいと教えられました。この世界は神の御心の実現として造られました。しかし、人間は神の御心に逆らい、霊的に死んだ者となり（エペソ2:1）、世界全体が罪によって損なわれました。しかし、神は人を見捨てず、救いの道を備えてくださいました（5節）。救い主イエス･キリストを受け入れ、御心に従うように、私たちを招いておられるのです。しかし、多くの人は神などいらないと、神を拒否し、神の御心に従おうとしません。また、私たちキリスト者でも、神の御心を無視することがあるのですから、祈る必要があります。

　私たちは、自分にとって都合の良い御心ではなく、天で行われるような完全な形での御心が、この地上においてもなるようにと祈るべきです。自分が神の御心に対して従順であれるように、聖霊の導きを求め、聖書を読み、御言葉を蓄えなければなりません。すぐに、御心がわからなくても、祈り深く待つことが大切です。自分を正当化するために御心を持ち出すのではなく、真に御心を知る者となりましょう。たとえ私たちが道を外れても「これが道だ。これに歩め」（イザヤ30: 21）という言葉を聞き、人生の軌道修正をしましょう！

　何よりもゲッセマネのイエス様の祈りが模範です。「わが父よ。わたしが飲まなければこの杯が過ぎ去らないのであれば、あなたのみこころがなりますように」（マタイ 26:42） ヨシャファテは最初から主のみこころを求めて祈るべきでした。今週も私たちは、まず主の御心を求めましょう！