ソロモンの祈り

序

　II歴代誌はソロモンの治世と、その後のユダの歴史が記されています。バビロン捕囚からの帰還後、歴代誌は過去の失敗から何を学ぶべきかを示しています。先祖の人たちは生ける真の神を離れ、偶像に仕えたために、裁かれました。その失敗から、生ける真の神を心より礼拝することを第一にすることを学ばなければなりません。私たちも礼拝を大切にしましょう！礼拝は、賛美と最初の招きから最後の祝祷までです。

　1章ではソロモンが民を治める知恵と知識を主に求め、それが与えられたこと、2～4章では、主の宮の建設が始まり完成したことが記されています。5章には、ソロモンはダビデが献げたものを宝物倉に納め、歌い手たちが賛美をすると、主の栄光が宮に満ち溢れたことが記されています。私たちも主を心から賛美しましょう！

1.契約を守られる神（Ⅱ歴代誌6:12～17）

　神は契約と恵みを守られる方だと、ソロモンは祈りました。神はダビデに約束されたことを守られ（15節）、ソロモンは父ダビデに代わってイスラエルの王座に着き （10節）、主の宮を建てたのです。主は約束されたことを、成し遂げられました（ピリピ2:13）。

　神はアブラハムと契約を結ばれ、カナンの地を与え（創世記15:18）、「あなたを大いに増やす」（17:2）と約束されました。これはアブラハムの後の子孫を含めて結ばれた契約であり、「永遠の契約」（17:7）と呼ばれています。パウロはこのことについて「あなたがたがキリストのものであれば、アブラハムの子孫であり、約束による相続人なのです。」（ガラテヤ3:29）と、異邦人でもキリストを信じた者は、アブラハムの子孫であると証言しました。

　『「アブラハムは神を信じた。それで、それが彼の義と認められた」とあります。』 （ローマ4:3）。

　新約聖書において、罪人が悔い改めてバプテスマを受けるなら、その人は、神の契約の民として受け入れていただけるのです。イエス様は十字架にかけられる前の夜、弟子たちと食事をされました。その時、杯を持って「この杯は…わたしの血による、新しい契約です。」（ルカ22:20）と言われました。イエス様の十字架の血によって、新しい契約が結ばれたのです。「キリストは新しい契約の仲介者です。それは、初めの契約のときの違反から贖い出すための死が実現して、召された者たちが、約束された永遠の資産を受け継ぐためです。」（ヘブル 9:15）

　このように神は契約と恵みを守られる真実な方なのです。この真実な神を信じましょう。

2.罪の赦しの祈り（Ⅱ歴代誌6:18～25）

　ソロモンの祈りのもう一つの特徴は罪の赦しです。彼は罪の赦しが必要だと告白しています（27節）。戦いに敗れることも罪の故であること、飢饉も疫病も罪のためだったと認め、神に罪の赦しを求めています。「罪に陥らない人は一人もいません。」（36節）と告白しているように、すべての人は罪の下（もと）にあり、この世に「義人はいない。一人もいない。」からです（ローマ3:9～12）。

　主の祈りの中で、「私たちの負い目をお赦しください」（マタイ6:12）と祈りますが、ここで言う「負い目」とは罪のことです。私たちは返すことのできない罪という借金を、神に対して負っているのです。負い目を赦していただく以外にありません。神はその罪の赦しの道を与えてくださいました。罪のない神の御子イエス様に、私たちの負い目を全部負わせたのです。罪を悔い改めてイエス・キリストに頼る者は、その罪が赦され、一切の負い目から解放されます（ローマ8:1）。何という恵みでしょう！

　それでは、どうしてなおも赦してくださいと繰り返し祈るのでしょうか。キリストを信じて、罪が赦され義とされますが、私たちが罪を犯さなくなるわけではありません。日々、犯す罪について、悔い改めるのです。神の御心にかなわないことをしたと気付いた時に、その罪を告白して赦していただくのです。そうでないと、傲慢になり、赦されている確信は失われます。神との祈りの中でへりくだり、きよめられ、信仰が深められます（Iヨハネ1:9）。

　神は契約と恵みに真実な方であり、私たちの罪を赦してくださいますから、日々の祈りと悔い改めの歩みを大切にしましょう！