主を礼拝しなさい

序

　イエス様がバプテスマを受けられたことがルカ3:21～22に記されています。イエス様はガリラヤからヨルダンに出てきて、ご自分からバプテスマのヨハネのところに来られました（マタイ3:13）。ヨハネの授けていたバプテスマは、「罪の赦しに導く悔い改めのバプテスマ」（ルカ3:3）でした。罪のないイエス様は、悔い改めのバプテスマをヨハネから受ける必要など、全くありませんでした（ヨハネ8:46）。そのことはヨハネ自身、よくわきまえていたので、イエス様にバプテスマを授けることをためらいました（マタイ3:14）。

　ところが、イエス様はヨハネに向かって「今はそうさせてほしい。このようにして正しいことをすべて実現することが、わたしたちにはふさわしいのです。」（マタイ3:15）と言われました。イエス様がバプテスマを受けられたのには意味がありました。人となられたイエス様は（ピリピ2:7,8）、すべての点で、人間と同じようにならなければなりませんでした（ヘブル2:17）。救い主として、人類の救いの計画を達成するためには、このバプテスマは当然、通らなければならないものでした。イエス様は、人々と同じ立場に立つことを願っておられたのです。

　さらに、聖霊がイエス様の上に下り、「あなたはわたしの愛する子。わたしはあなたを喜ぶ。」（ルカ3:22） と天から声が聞こえたのです。天からの声は、第一に「わたしの愛する子」と宣言されました。これはダビデの家系の王を、神がご自身の子として宣言しておられる詩篇2:7が反映されています。第二に、「わたしはあなたを喜ぶ。」には、ご自分のしもべを喜ぶと神が宣言しておられるイザヤ42:1が反映されています。このように神はイエス様を神の子であり、しもべであると宣言されたのです。

1.イエス様の系図（ルカ3:23～38）

　イエス様が教えを始められたのは、およそ30歳でした（23節）。23節後半から3章の終わりまで、イエス様の系図が続きます。マタイの福音書の系図と比べると、いろいろな違いがあります。マタイの福音書はイスラエル民族の先祖であるアブラハムから始まりキリストに至ります。

　ルカの福音書は全く逆の記し方をしています。イエス様から始まって、順次さかのぼり、アブラハムで終わらずに人類の先祖であるアダム、そして人を創造された神にまで至ります。これは、イエス様は決してユダヤ人だけの救い主ではなく、世界の救い主であるということが明らかにされるためです。全人類は一人の例外もなく罪の中にあります。アダムが堕落して以来、私たちが受け継いでいる罪の性質は自分の力で克服できません。そこで、私たち人間と同じように、人からイエス様が、誕生されました。しかも罪のない神の子として来てくださいました。この神の子イエス様を信じる時、私たちは罪から救われるのです。

2.主を礼拝しなさい（ルカ4:1～13）

　さて、ヨルダン地方から聖霊に満たされ、帰られたイエス様が、御霊に導かれて、悪魔の試みを受けられました。

　悪魔の試みは巧妙です。悪魔はイエス様の立場をよく知っていて、「あなたが神の子なら」（3,9節）と繰り返し言って、神の子である証明をさせようとしました。しかも、試みの事柄全てが、イエス様にとって実現可能なことばかりでした。悪魔は私たちに対しても、私たちにできること、やりたくなるような誘惑で、試みに来ると言うことを心に留めておきましょう。

　第一の試みは、「石にパンになるように命じなさい」でした。40日間イエス様は何も食べておられませんでした。その試みに対して、イエス様は「人はパンだけで生きるのではない」（申命記8: 3）の言葉をもって打ち勝ちました。まず神の言葉に従うようにとイエス様は言われたのです。

　第二の試みは「国々の権力と栄光をすべてあなたにあげよう」という誘惑でした。ただし悪魔を拝むならと言う条件がありました。それに対してイエス様は「あなたの神である主を礼拝しなさい」（申命記6:13）と退けました。

　第三の試みは「あなたが神の子なら、ここから下に身を投げなさい…神は…あなたを守られると書いてあるから」というものでした。ここでは悪魔は、詩篇91:11,12の言葉を引用して誘惑しましたが、イエス様は「あなたの神である主を試みてはならない」（申命記6:16）と答えられました。私たちも御言葉を正しく理解し、御言葉によって悪魔の誘惑に打ち勝ちましょう！そして、主だけを礼拝しましょう！