主は安息を

序

　作家の三浦綾子さんは、最初はクリスチャンをとても嫌っていました。しかし、多くのクリスチャンの出会いを通して聖書を読むようになりました。神について友人たちと話をすると「神なんて、いるわけがないよ。この科学の発達した世の中で、証明できないものは、ないのと同じだよ。」と言われます。「じゃあね、神があるという証明ができないから、神がいないと言うなら、神のない証明をしてほしいものだわ。」と反論されたそうです。すると、大抵の友人は、「あっそうか」と頭をかくことが多かったそうです。（三浦綾子「道ありき」132ページ以下）

　神はいないと考えておられる方は、自分の無神論なるものについて、どれだけ突き詰めて考えているでしょうか。聖書は、神の本性は世界の創造された時から被造物によって知られていると教えています（ローマ1:20）。

　イギリスの科学者、アイザック・ニュートンについて面白いエピソードが残されています。ニュートンは腕の良い職人に依頼して、太陽系の精密な模型を作ってもらいました。ある時、ニュートンの友人で神を信じない人がやってきて、その模型を見て感激しました。友人は「これを作ったのは誰？」と聞きました。ニュートンは「作った者などない。ひとりでに出来上がったんだ。」と答えました。友人は「製作者がいないはずがないじゃないか。これを作ったのが誰か教えてくれよ。」と言うと、ニュートンは「この模型が偶然に出来上がったといっても信じないんだね。それなのに、この模型が元になっている正確で緻密な太陽系は、偶然の産物だと君は思っている。これはなぜなんだい？」と答えました。こうして、その友人は宇宙を設計し、造られた方、神がおられることを納得したそうです。

　宇宙にあるもの、地上にあるもの、自然の全てが、神の存在を示しています。野ウサギは夏には茶色の毛をしていますが、雪の降る冬には毛が真っ白に生え変わります。これを動物学者は保護色と説明します。ウサギが自分の頭で考えたのでしょうか？それはあり得ません。ウサギでないとすると、一体誰が考えたのでしょうか？木の枝や葉っぱの形に姿を似せる昆虫がいます。そのようなことを昆虫が考えたのでしょうか？そうでなければ、誰がそんなに万事都合良く考えたのでしょうか。全能の神です。このように、自然界を見るなら、これらの生き物を合理的にお造りになった神がおられることがわかるのです。聖書の神は万物を造られた方です（創世記1:1）。

　その神がアブラハムを選び、その子孫を通して、全世界が神の祝福を受けることを約束されました（12:3）。その子孫がイスラエルの民です。最初は約束の地に住んでいましたが、飢饉のためエジプトでの生活が始まりました。400年後、イスラエルの民は神によって約束の地に向かいました。モーセの死後、ヨシュアが後継者となり、イスラエルの民はヨルダン川を渡り、約束の地に入り、カナンの地は12部族に割り当てられました。そのことがヨシュア記に記されています。

1.主は安息を（ヨシュア22:1～9）

　イスラエルがカナンの地を占領し、土地配分を終え、安息を得ました。「今あなたがたの神、主は、約束したとおりに、あなたがたの兄弟たちに安息を与えられた。今、主のしもべモーセがヨルダンの川向こうであなたがたに与えた、自分たちの所有地、自分たちの天幕に引き返しなさい。」（ヨシュア22:4）ヨシュアは先にヨルダンの東に相続地を得ながら、イスラエルの先頭に立って、ヨルダン西部のカナン占領のために戦ってきたルベン族、ガド族とマナセの半部族の人たちに、それまでの労をねぎらい、彼らを家族のもとへ帰らせました。ヨシュアは、これからも主のしもべモーセの命令と律法をよく守り行い、主を愛し、主のすべての道に歩むようにと勧めました（5節）。

　イエス様もそのように教えられました。「あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。」（マルコ12:30） 神は私たちに、そのひとり子をも与えてくださいました（ローマ8:32）。その愛に応えて、私たちも主を愛しましょう！

2.神の安息（ヘブル4:1～11）

　疲れた魂のために安息が用意されています。それは、イエス・キリストのところです。イエス様は私たちを招いておられます（マタイ11:28～30）。そして、究極的な安息は天にあります。その日を目指し、落後する者が一人もいないようにしなければなりません（ヘブル4:11）。