切り開く

序

　毎日の天気予報に出てくる気圧の単位「ヘクト・パスカル」のもとになった人物が、17世紀のフランスの哲学者、ブレーズ・パスカルです。12歳の時にユークリッドの幾何学原論の第32定理までを、独力で証明して世間を驚かせました。10代の時に円錐曲線試論を表し「パスカルの定理」を発見しました。19歳の時には自動計算機を発明し、その後、気圧の研究を行い「パスカルの原理」を確立しました。さらに数学の確率論も開拓した恐るべき才能の人物でした。

　しかし、その心に満足はありませんでした。およそ30歳の時、聖書の示すイエス・キリストに出会い、初めて心の満足を見出し、その後イエス・キリストから離れることはありませんでした。彼はキリストに出会った日のことを羊皮紙に書き、コートの裏側に縫い込んで死ぬまで離さなかったそうです。

　私たちは様々なものを求めますが、それらのものは私たちに本当の満足を与えてくれません。豊臣秀吉は天下を統一し、日本の支配者となりました。しかし晩年、自分の一生を振り返って次のような歌を読みました。「露と落ち　露と消えにし我が身かな　なにわのことも夢の又夢」

　自分の人生を振り返ったときに、「自分の人生は草の上にできて、すぐになくなってしまう草露のようであった。天下を統一したことも、大阪城を築いたことも夢のまた夢であった。」と歌ったのです。この世でどのように成功しても神抜きではむなしいのです。私たちの心の中には、まことの神以外には誰も満たすことのできない真空が存在するからです。その真空は、まことの神を迎え入れない限り、私たちは絶対に満足することができないのです。 　イエス様は「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書が言っているとおり、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになります。」（ヨハネ7:37～38）と言われました。イエス様は私たちに命の水を与えてくださるのです。

　イエス・キリストは私たちの罪のために十字架にかかり死んでくださいました（Ⅰペテロ2:24）。私たちの神を神として崇めない罪（ローマ1:21）、神を自分の心から締め出す罪、その他、私たちが心の中で、口で、行動で犯す様々な罪を、イエス・キリストはその身に負い、神の裁きをすべて、十字架の上で受けてくださったのです。イエス・キリストを信じるときに、一人も例外なく、永遠の命が与えられるのです（ヨハネ3:16）。

1.マナセの相続地（ヨシュア17:1～6）

　ヨシュア記17章は、マナセ族に対する土地の割り当てが記されています。マナセ族にヨルダンの東側のバシャンの地が与えられたこと（1～3節）、ついで、マナセ族のツェロフハデの娘たちが、モーセの約束に基づいて、相続地を求めたので、ヨルダン川の西側、エフライム族の割り当て地の北側に、マナセ族のために相続地が割り当てられたことが記されています（3,4節）。

　マナセはヨセフの長男でしたが、ヤコブが彼らを祝福した時、弟のエフライムを先に立てたので（創世記48:19）、エフライムがヨセフ族を代表するようになりました。しかし、マナセ族もイスラエルの有力な部族でした。マナセの長子マキルは戦士で、その子たちも戦いに強く、彼らは、ヨルダン川の東で、既にバシャンを攻め取り、その広大な土地を自分のものにしていました。マナセとエフライムにこのような祝福が与えられたのは、ヤコブの祝福のゆえでした（創世記49:22）。同様に、私たちはイエス様を信じる時、イエス様のゆえに神の子とされる特権が与えられるのです（ヨハネ1:12）。

2.切り開く（ヨシュア17:7～18）

　ヨセフ族（マナセ族とエフライム族）は、他の部族よりも大きな相続地を得たのに、かれらは不満で、ヨシュアに「私たちは数の多い民なのに、なぜ一つの割り当て地しか分けてくれなかったのか」（14節）と苦情を申し立てました。そして、その地のカナン人は、鉄の戦車を持っているので、追い出せないと不平を言いました（16節）。ヨシュアは、自分の同族のヨセフ部族の身勝手な申し立てを聞いて、どんなに悲しかったことでしょう。ヨシュアは彼らに、自分たちで状況を切り開けと命じました（18節）。じっと座り込んで何もしないのではなく、積極的に主の恵みを求めようと、ヨシュアは彼らを励ましたのです。

　「求めなさい。そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。」（マタイ7:7）