神に信頼せよ

序

　ヨシュアは、南部を代表する5つの都市国家の連合軍を打ち破った次に、北部の王たちと戦いました。

　「これらの王たちはみな集まり、進んで行き、イスラエルと戦うためにメロムの水のほとりでともに陣を敷いた。」（ヨシュア11:5）

　軍勢の数から見れば、敵は圧倒的に優勢でした。しかし、主は「恐れてはならない」（6節）と言われました。しかも、注意すべき点は、この戦いには10章のような奇跡が起こらなかったことです。神は人が望むままに、毎回同じ奇跡をなさるわけではありません。その都度、その都度、どのようにすべきかを主に聴き、従っていかなければならないのです。

　もう一つ特筆すべき点は、生け捕った馬の足の筋を切り、戦車を火で焼いたことです。馬と戦車があれば、戦いに有利です。ところが神はイスラエルがこのこれらの武器に頼らないように廃棄させられたのです。私たちも主に信頼していきましょう！

　「ある者は戦車を　ある者は馬を求める。しかし私たちは私たちの神　主の御名を呼び求める。」（詩篇20:7）

　ヨシュア11章には聖絶したという言葉が繰り返し出てきます。他の聖書では「滅ぼし尽くした」と訳されていますが、そう表現すると誤解を生みやすいです。武力の行使に一つの抑制が加えられたことを、聖絶という用語が暗示しています。なぜ、イスラエルが、先住民をこれほどまでに、滅ぼさなければならないのか、それは偶像礼拝を始め悪徳の汚れに対して、その汚れの源も、聖められなければならないからです。偶像礼拝からくる罪の生活は、処置されなければならず、イスラエル人でも除外されないことをアカンの罪の事件は示しています。

　この箇所から私たちは、次のことを教えられます。私たちは罪の奴隷状態（ヨハネ8:34）から救われ、子羊イエス様の血によって、神の民、神の子とされました（Ⅰペテロ1:18～19）。恵みによって、信仰によって救われます（エペソ2:8）が、神の子にふさわしい歩みが要求されます（5:1）。そのため、御霊によって肉（からだの行い）という生まれついての自己中心的な生き方を殺す（ローマ8:13）という罪との戦い、また御言葉と祈りによる成長が必要なのです。もはや、神の裁きを恐れる必要はありませんが、神を愛するゆえに、自分の罪を正直に認めて悔い改める罪からの聖めが必要なのです。

1.征服された王たち（ヨシュア記12:1～24）

　ヨシュア12章は、11章までの要約として、イスラエルがこれまでで征服した地と、その王たちの名前を挙げています。1～6節には、ヨルダン川を渡る前のモーセのもとでの征服が記され、7～24節には、川を渡ってから、ヨシュアのもとでの征服が記されています。それは、約束の地全体の征服は主によって始められ、完成された主のみわざであることを人々が知るためでした。「あなたがたの間で良い働きを始められた方は、キリスト・イエスの日が来るまでにそれを完成させてくださると、私は確信しています。」（ピリピ1:6）私たちの救いも神が完成してくださるのです。そのことを信頼していきましょう。

2.神に信頼せよ（詩篇62:8）

　詩篇62篇は「私のたましいは黙って　ただ神を待ち望む。私の救いは神から来る。」（1節）という言葉から始まっています。「低い者は空しく　高い者も偽りだ。」（9節）とダビデは記しました。民衆に期待してもむなしく、権力者が偽りであることを悟り、彼はただ神を待ち望む信仰告白に導かれました。ダビデは、妻の父であるサウル王から命をつけ狙われ、権力者は頼りにならないことを実感していました。また身分の低い人である民衆は、無責任で頼りにならないのです。「ホサナ…ホサナ」（マタイ21:9）とイエス様を褒め讃えていた民衆は、すぐにイエス様を「十字架につけろ。」「十字架につけろ。」（27: 22～23）と叫びました。まことの助けは、ただ神にあるのです。

　ヨシュアとイスラエルの民のように、またダビデのように、私たちも神を、どんな時にも信頼しましょう！

　「民よ　どんなときにも神に信頼せよ。あなたがたの心を神の御前に注ぎ出せ。神はわれらの避け所である。セラ」（詩篇 62:8）そして、「主よ　恵みもあなたのものです。あなたはその行いに応じて人に報いられます。」（12節）と62篇は結んでいます。神が正しい裁きと報いをしてくださいますから、このお方に信頼してゆきましょう！