とこしえに祭司

序

　今回、コンサートで奉仕してくださった上原ヨシュアさんの祖父に当たる方はホーリネス教会の牧師でした。和歌山で牧師をされていましたが、戦時中に殉教され、牧師夫人が教会を守ったとのことです。

　1939 （昭和14）年、宗教団体法が制定され、教会数50、信徒数5000以下の小さな宗教団体は認められなくなりました。そのため教派を超えて合同するしか道がなくなりました。「我ら基督教信者であると同時に日本臣民であり、皇国に忠誠を尽くすを以て第一とす」の宣誓のもと、プロテスタント系の全教派は合同し、日本基督教団が生まれました。1941（昭和16）年、日本基督教団の創立総会が開かれました。教団に非協力的であったホーリネス系の教会は、再臨の教義が国体（国家の根本体制）に反するという理由で、次の年から迫害を受けました。ホーリネス系の教会の牧師は検挙され、投獄され、殉教した方々もいました。その一人が上原さんの祖父にあたる方でした。

　昭和16年は、日本がアメリカとの戦闘状態に入った年でした。名古屋中学の数学教師をされていた松原和人師は、イザヤ43章19節の御言葉によって伝道者として立ち上がりました。そして、その年の12月25日、活けるキリスト一麦教会は誕生しました。当時、日本のキリスト教会は東条内閣の弾圧に遭い、名古屋でもホーリネス派の牧師が数名投獄され、松原先生の牧する一麦教会へも刑事が来ました。そのような時代にあって伝道する事は容易なことではありませんでした。松原先生は上よりの力を求めて祈り続けられ、昭和18年10月28日、イザヤ45書22節の御言葉によって、尊敬する牧師先生と本を偶像にしていたことがわかり、それらを献げた時、上よりの力、聖霊の注ぎを受けました。困難な時代に伝道されていた先輩の方々を思い、私たちも聖霊に満たされイエス様を証ししたいと思います。

1.とこしえに祭司（詩篇110:1～7）

　詩篇110篇は、2篇と並んで重要なメシア（救い主）預言です。しかし、バビロン捕囚によってユダ王国が滅亡すると、この詩篇は、ダビデの血統を引くメシアが来て、ユダ王国を復興させ、敵国の圧政や支配から解放してくれる王が来られる預言として理解されるようになりました。

　イエス様の時代のパリサイ人たちも、同じようにローマからの解放者としてのメシアを期待していました。しかし、イエス様は、この詩篇を聖霊がダビデに預言させた言葉（マタイ22:43）、主（父なる神）が私の主（御子キリスト）に言われたと語られました（44節）。イエス・キリストが十字架につき、3日目によみがえり、50日後に聖霊が臨み、キリスト教会が誕生した時、ペテロは、この預言によってイエス様が聖霊を注がれたことの保証としました（使徒2:34,35）。ペンテコステの日に聖霊が臨んだのは、イエス様がよみがえって、天にのぼられて、父の右の座につき、そこから聖霊を注がれた結果であると理解したのです（使徒1:8）。

　ヘブル人への手紙の著者は、詩篇110篇4節の祭司職である方ということに重点を置いています（ヘブル8:1、10:12）。イエス様は大祭司であり、同時にご自分の肉体という垂れ幕を通して、私たちのためにこの新しい生ける道を備えてくださったのです（10:20） 。

　このように詩篇110篇の御言葉は、イエス様によってご自身を指すものとして解釈されました。さらに復活後40日目に昇天して、父の右の御座に着座し、私たちのためにイエス様が日々とりなしておられることを教えているのです。私たちも日々私たちのために、とりなしてくださっている永遠の大祭司イエス様の姿を思い浮かべつつ、信仰の道を歩みましょう （ヘブル4:16、7:25）。

2.飼い葉桶のみどりご（ルカ2:16）

　今日はクリスマス礼拝です。みどりご（生まれてから、2～3歳ぐらいまでのこども）のイエス様について考えてましょう（ルカ2:16）。神は、私たちを愛と恵みよって、慰め力づけるために、あなたの前に、このみどりごを置かれたのです。この幼い平和の君を思うとき、私たちは魂に安らぎを覚えます。神は、私たちがこのみどりごのうちに避けどころを見出すように、あなたの前にこのみどりごを置かれたのです。神が人となられ、ここにおられます。私たちの救いのために来てくださった方を、受け入れ、救われたことを主に感謝しましょう！