主の御顔を慕い求める

序

　ホセアの時代は、イザヤと同じ、紀元前750年頃（1:1）です。ヤロブアム2世の時代は、北イスラエル王国の一つの繁栄期でした。しかし物質的繁栄は道徳的腐敗に通じます。恥ずべき偶像礼拝、貧しい者への圧迫も、この時代の特徴でした。主なる神の花嫁であるイスラエルは、結婚の約束を破る不貞の妻のようでした。

　主はホセアに姦淫の女と姦淫の子を引き取るように命じました（2節）。ホセアが妻ゴメルに裏切られたように、主はイスラエルに裏切られました。イスラエルの民の霊的な姦淫が、どんなに大きな罪であるかを、事実として、ホセアは体験しました。

　ゴメルの最初の子イズレエル（4節）は、不吉な過去を思い出させました（Ⅱ列王9:36）。2番目の子ロ・ルハマは、「あわれむことはなく…赦さない」（ホセア1:6）の意味です。3番目の子ロ・アンミは、「あなたがたはわたしの民ではない」（9節）という意味でした。しかし、預言者ホセアはこの妻を愛しました。愛される価値がない妻をホセアが愛したように、罪深い私たちを神は愛してくださっているのと同じです。「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、宥めのささげ物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです。」（Ⅰヨハネ4:10）

　ホセア2章では、姦淫の女であるイスラエルの民の罪と、それに対する主の裁き、そして回復が語られています。ヨシュア7章26節の、あのいまいましい「アコルの谷を望みの門とする」（ホセア2:15）、そして、出エジプトの日のような大きな喜びを取り戻せると主は言われるのです。背信の民はアコルの谷で罰せられるべき者ですが、もし主の元へ返るならば、再び主を「私の夫」（ホセア2:16）と呼ぶことができるようになるのです。神の哀れみはこれほどに深いのです。

　3章では、主はホセアに、「再び行って…女（ゴメル）を愛しなさい」と命じられました。それは主に愛されていながら、偶像を拝んでいるイスラエルの民を主が愛しておられることを示すためでした。

　4章では、イスラエルの罪に対する主の告発が記されています。主は、イスラエルの民と言い争われ、イスラエルは神を知ることなく罪にまみれてしまっている、それは祭司と預言者が知識を捨てて神の教えを忘れだからだと責められました。そして民の偶像礼拝と、性的乱れを責め、北王国イスラエルは絶望的だとしても、その罪を南王国ユダに及ぼすなと警告されました（15節）。

1.これを聞け（ホセア5:1～7）

　1～7節で、主は祭司たち、イスラエルそして王の家に対して、彼らに罪の裁きが下ることを告げられました。「聞け。…心せよ。…耳を傾けよ。」（1節）の三つの命令形で、事の重大さと、応答への要求が見られます。3～5節では、民の偶像に迷った姿、その高慢な顔が指摘されています（5節）。6～7節ではバアル礼拝によって腐敗した礼拝、新月祭（7節）が主に受け入れられないことが指摘されています。

2.神を探し求める（ホセア5:8～15）

　8～15節では14節に言われているように、主がエフライム（北イスラエル王国）と南ユダ王国を引き裂き、裁かれるという預言です。8～10節は、エフライムとシリアの連合軍によるユダへ攻撃と、それに対するユダの反撃、11節は北イスラエル王国へのアッシリアの攻撃が記されています。12～13節では、彼らがその攻撃を受けた時に、他の国に頼るのは無益に終わることが告げられています。主が彼らを引き裂き、裁こうとされているからです（14節）。そして15節で、主は、それは彼らが罪を認めて、主の御顔を慕い求めるようになるためであることが告げられています。私たちも心を頑なにせず、自分を顧み、素直に自分の罪を認め、告白し、主の御顔を慕い求めましょう！その時、主は私たちを受け入れてくださいます。

　「さあ、主に立ち返ろう。主は私たちを引き裂いたが、また、癒やし、私たちを打ったが、包んでくださるからだ。主は二日の後に私たちを生き返らせ、三日目に立ち上がらせてくださる。私たちは御前に生きる。 私たちは知ろう。主を知ることを切に追い求めよう。主は暁のように確かに現れ、大雨のように私たちのところに来られる。地を潤す、後の雨のように。」（6:1～3）この主を知ることを切に追い求めましょう！