永遠の契約

序

　エレミヤ31章では、主は「永遠の愛を持って、わたしはあなたを愛した。…真実の愛を尽くし続けた。」（3節）と語られました。イスラエルが主の愛を無視し、主に背いて罪を犯した時には彼らを打ち、捕囚として連れ去れるに任せられました。しかし彼らが、自分たちの罪とその結果を受け止めた時、主は彼らを立て直すと宣言されました（4節）。

　そして、民と「新しい契約」（31節）を結び、「わたしが彼らの不義を赦し、もはや彼らの罪を思い起こさない」（34節）、と言われました。この新しい契約の仲介者がイエス様であり、天の大祭司なのです（ヘブル8章）。

1.希望の約束（エレミヤ32:1～15）

　神の民がバビロンに捕囚された苦しい時に、エレミヤは主からのことばを預かり、人々に伝えました（1節）。「そのとき、バビロンの王の軍勢がエルサレムは包囲中であって、預言者エレミヤは…監禁され…」（2節）エレミヤは神に従っているのに、苦しい囚われの身でした。監禁の理由は、エレミヤの預言者としての発言が、反バビロン政策をとっていたゼデキヤ王及び指導者たちの意向に合わず、反逆者または非国民とさえも思われたからです。

　エレミヤは、主のお言葉のとおり、叔父の子が来たので、主のお導きと信じて、アナトテの叔父の土地を購入し、証書を作って、書記に保管を命じ、必ず再び土地の売買をする時は来ると証しました（8～15節）。ユダの国は滅亡寸前であり、バビロンの勢力が既にユダの地に及び、社会が不安定で、将来どのようになるのか想像もつかない現状でした。その中で土地を買い求めるということは普通には考えられないことでした。しかし、エレミヤは主がこの国を裁かれるけれど、やがて回復の時を迎え、畑や土地が買われるような日がやってくることを神からの預言として語ったのです。

　エレミヤが危機的な状況下にありながら、示されるところを確信し、アナトテの地を購入した理由は、契約の神への信頼にありました。聖書の神は契約に忠実であるお方です。神は私たちを見捨てず、私たちの救いのために御子イエス・キリストをこの世に送り、イエス・キリストの十字架の身代わりによって私たちの罪を赦し、永遠の命を与えてくださいました。イエス様こそ「新しい契約の仲介者」（ヘブル12:24）です。

2.主に不可能なことはない（エレミヤ32:16～25）

　エレミヤは祈りました（16節）。苦しんでいる者にとって、祈りを通してくる助けほど素晴らしいものはありません。「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。そうすれば…神の平安が、あなたがたの心と思いを守ってくれます。」（ピリピ4:6,7）主はエレミヤの祈りに答えてくださいました。「わたしを呼べ。そうすれば、わたしはあなたに答え、あなたが知らない理解を超えた大いなることを、あなたに告げよう。」（エレミヤ33: 3）

　エレミヤの祈りの内容に注目しましょう。彼は天と地を作られた偉大な創造主に目を留めました。そして、主にとって不可能な事は一つもないと告白しました（32:17）。「…それは人にはできないことです。しかし、神は違います。神にはどんなことでもできるのです。」（マルコ10:27）主は全能の神です。

　次に、御民イスラエルをエジプトから救い出して、約束の地に導かれた救い主に目を注ぎました（エレミヤ32:20～22）。そして民の罪を認め、その罪に対する主の裁きを認めました（23節）。それが主の御言葉の成就であることを認め、そこから救い出すと言う約束を実現してくださることを確信したのです（24～25節）。御言葉の約束によって、私たちも救われるのです。主の御言葉は真実です。「まことに主のことばは真っ直ぐで　そのみわざはことごとく真実である。」（詩篇33:4）「たとえすべての人が偽り者であるとしても、神は真実な方であるとすべきです。…」（ローマ3:4）主ご自身が真実な方なのです。それゆえ、ご自分の契約に対して誠実、忠実なお方です。

　主は「彼らと永遠の契約を結ぶ」（エレミヤ32:40）と言われました。主はイスラエルから離れず、イスラエルは主から去らないようになるのです。この契約はイスラエルの心に神への恐れを与えるものであり、何よりも幸せにするためなのです。私たちも契約に真実であられる神を信頼しましょう！