来るべき預言者

序

　申命記21～26章では様々な守るべき律法が記されています。律法によって、神がきよい方であるように、イスラエルの民には実生活においてきよさが要求されます。

　23章9～14節では、イスラエルの民が出陣するときの原則と、具体的な規則が明らかにされています。その根底にあるのは、次のことです。「あなたの神、主が、あなたを救い出し、敵をあなたに渡すために、あなたの陣営の中を歩まれるからである。こうして、あなたの陣営は聖でなければならない。主があなたの中で恥ずべきものを見て、あなたから離れ去ることのないようにしなさい。」（14節）神の民はこの事実を意識して、汚れたことから自分の身を守ることが求められていました。

1.来るべき預言者（申命記18:15～19）

　申命記18章15～19節には、来るべき預言者についての預言があります。「あなたの神、主はあなたのうちから、あなたの同胞の中から、私のような一人の預言者をあなたのために起こされる。あなたがたはその人に聞き従わなければならない。」（15節）この来るべき預言者とは救い主キリストです（使徒3:22）。

2.虚しさのない人生（Ⅰコリント15:55～58）

　人生には実に多くの苦しみがあります。その苦しみの解決はどこにあるのでしょうか。それは苦しみがなくなるところにあるのではなく、苦しみの中にあっても、生きる喜び、平安を得られることこそが解決なのです。そして、人生の秘訣と意義がわかれば乗り越えていけます。

　人間は、意味のない苦しみや仕事には耐えられません。ドストエフスキーは20代の時に、ある思想問題に連座して、囚人となり、シベリアの刑務所で4年の歳月を送ったことがありました。その時のことを書いたのが「死の家の記録」です。その中にひどい刑罰としての労働のことが記されています。バケツを2つ用意し、一方のバケツに水をいっぱい入れ、もう一方を空（から）にしておきます。そして、バケツの水を、片方からもう片方へ移し替える作業を繰り返すのです。この意味のない仕事に、囚人たちは精神的に参ってしまいました。来る日も来る日もこのようなことをさせられると、囚人の中からは、自殺したり発狂したりする者が出てきたそうです。人間は無意味さには耐えることができません。

　どうすれば人生の意義がわかるでしょうか？アウグスティヌスは学問を追求しつつも、異端の信仰に染まった生活をしていました。しかし、386年、聖書の御言葉（ローマ13:11～14）によって神に立ち返りました。その著書「告白」の中で「あなた（神）は、私どもをあなたに向けてお造りになりましたので、私どもの心は、あなたの中に安らうまでは、決して平安を持つことはできません。」と記しています。彼は心に平安を得たのです。

　天と地を創造し、私たちを創造されたこの真の神に立ち返るときに、私たちは人生の意義を悟り、平安が与えられるのです。そのために神は私たちのために、救い主イエス・キリストをこの世に送ってくださったのです。

　肉体には死があります。また、魂の死もあります（ヘブル9:27,28）。死後、神の裁きを受けるのです。なぜ、人間は魂の死、つまり神の裁きを受けなければならないのでしょうか。それは人間が罪を持っているからです。この罪とは、人を騙したり、盗んだり、殺したりという具体的な罪だけではなく、悪い行いの発端、根源となる悪い思いが人の心にある訳で、それを原罪と呼びます。そこから私たちの悪い思いや言葉、行いが出てきます。それは神を神と思わない人間の態度に現れてきます。この罪のゆえに、私たちは神の裁きのもとにあるのです。

　聖書には、そのような人間の罪の姿が描かれています（ローマ7:19，24）。しかし、キリストは私たちの罪と死の問題の解決を与えてくださいました。キリストは私たちの罪の身代わりに十字架で死に、そして3日目に死に打ち勝って、よみがえられたのです。

　「『死よ、おまえの勝利はどこにあるのか。死よ、おまえのとげはどこにあるのか。』 死のとげは罪であり、罪の力は律法です。しかし、神に感謝します。神は、私たちの主イエス・キリストによって、私たちに勝利を与えてくださいました。ですから、私の愛する兄弟たち。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは、自分たちの労苦が主にあって無駄でないことを知っているのですから。」 （Ⅰコリント15:55～58）