主は聖なる方

序

　詩篇99篇は聖なる詩篇とも呼ばれます。「主は聖なる方」（3節、5節、9節）という賛美が、3度繰り返されているからです。1～3節までは、神の偉大さ、その支配が歌われ、4、5節は、正しく裁かれる神の義が、6～9節は、親しく語りかけ、また答えてくださる神が歌われています。

1.大いなる方（詩篇99:1～5）

　「主は王である。国々の民は恐れおののけ。ケルビムの上に座しておられる方に。地よ　震えよ。」（1節）アダムがエデンの園を追われた時、園に戻って来られないように、ケルビムが置かれました（創世記3:24）。ケルビムは天使のことで、幕屋の至聖所の契約の箱の上に、翼を広げた姿で飾られていました。

　「ケルビムの上に座しておられる方に」とは、神がいかに高き方であるかを表現しています。万物を超えて存在される神です。

　多くの日本人は何でも神にしてしまいます。本居宣長は次のような歌をつくりました。

　神といえば　皆ひとしくや　思うらむ 　鳥になるもあり　虫になるもあり

　鳥も虫も等しく神だと思うのです。しかし聖書の神は天地万物を造られた方、いと高く、唯一にして聖なる方なのです。

　4節からは、神の正しさ、きよさを歌っています。裁きと正義を行われる神です。

　「王は力をもって さばきを愛する。あなたは 公正を堅く立て さばきと正義を ヤコブの中で行われた。」（4節）ここでの王は、1節にあるとおり主のことです。

　日本やギリシャ神話の神々は、良い神もあれば、悪い神もいて、神々は互いに嫉妬し、争い合う、実に罪深い人間レベルの情けない神です。そんな神が正義を行えるわけがありません。しかし、聖書の神は正しく、聖なる審判者なのです。

　こんな素晴らしい神に出会えた幸いを感謝しましょう！

2.答えられる方（詩篇99:6～9）

　神はいと高き大いなる方、また裁きと正義を行う方です。しかし、私たちに親しく語りかけてくださる方でもあります。「モーセとアロンは主の祭司たちの中に サムエルは御名を呼ぶ者たちの中にいた。彼らは主を呼び 主は彼らに答えられた。主は雲の柱から 彼らに語られた。彼らは主のさとしと 主が賜ったおきてを守った。」（6～7節）

　7節の「雲の柱」は、神の臨在を象徴します。「主のさとし」、「おきて」は、啓示された神の律法と契約を示します。モーセもアロン、サムエルも主を呼べば、主は彼らに答えられました。いと高く、正しい主は同時に、一人ひとりの声に耳を傾け、答えてくださいます。

　また、「赦しの神」であり、同時に「悪しきわざには報復される方」です（8節）。

　イザヤ6章では、セラフィムが互いに呼び交わしました。「聖なる、聖なる、聖なる、万軍の主。その栄光は全地に満ちる。」（3節）その時、イザヤは自分が罪人であり、霊的に死んだ状態であると自覚しました。セラフィムの一人が燃え盛る炭を持って来て、イザヤの口に触れ、赦しの宣言をしてくれました。「見よ。これがあなたの唇に触れたので、あなたの咎は取り除かれ、あなたの罪も赦された。」（7節）この赦しの宣言のことばによって、イザヤは霊的に生かされました。今も神は、御子イエス･キリストの血によって、私たちの罪を赦してくださいます。一年を振り返り、愛のなかったことや、言葉に、また行いにおいて、至らなかった点を悔い改め、新しい年を迎える魂の準備をしましょう！

　「子よ、しっかりしなさい。あなたの罪は赦された」 （マタイ9:2）

　「もし私たちが、神が光の中におられるように、光の中を歩んでいるなら、互いに交わりを持ち、御子イエスの血がすべての罪から私たちをきよめてくださいます。」 （Ⅰヨハネ1:7）