全能者とは何なのか

序

　ナアマ人ツォファルは、「こうだから、苛立つ思いが私に応答させるのだ。私の心の焦りのゆえに。」（20:2）と言いました。彼はヨブの嘆きや訴えが、自分たちに対する侮辱だと受け取ったので（3節）、彼は苛立ち、黙っておれなくなりました。ツォファルは、悪人の地上での運命を語りました。「これが悪しき人間が神から受ける分、神によって定められた、彼の受け継ぐものである。」（29節）ヨブの友達は、悪事は必ず罰せられると繰り返し言いました。彼らはこの言葉でヨブを責め、自分たちの無情さをさらけ出しました。「私は悪しき者の横暴を見た。彼は野生の木のようにはびこっていた。だが彼は過ぎ去った。見よ 彼はもういない。私は捜したが見つからなかった。」（詩篇37:35～36）「思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、刈り取りもすることになります。」（ガラテヤ6:7） とあるように、神は悪人を罰することもなさいますが、清く歩んでいる人が試練に会うこともあるのです。

　ヨブが贖い主を見出したのに対し（ヨブ19:25）、ツォファルはあくまでもヨブが地上の繁栄を失ったことのみを語り、彼の関心は、地上のことだけでした（20章）。

1.全能者とは何なのか（ヨブ21:1～16）

　ヨブはツォファルの弁論に答えて、まず自分の言い分を聞いてくれと願いました（2節）。この世の有り様は、あなたたちが話すようではなく、悪人は滅びるどころか、むしろ富み栄え、悠々と過ごしているではないかと答えました。悪しき者は、長寿を全うし（7節）、子孫は繁栄し（8節）、悪しき者の幸せは家畜まで及ぶ様子を目にします（10節）。そして最後は「幸せのうちに寿命を全うし、安らかによみに下る。」（13節）とヨブは語りました。不幸で苦しむのは悪人だと決めつける3人の友達の意見に、ヨブは反対しました。悪者たちは、神に「私たちから離れよ。私たちは、あなたの道を知りたくない。全能者とは何なのか。私たちが仕えなければならないとは。どんな益があるのか。私たちが彼に祈り願ったところで」（14～15節）と、悪く言うのです。

　聖書の神は全能者です。天と地を創造し、すべてのものを支え、導かれるお方です。ご自身の聖なる本質と意志に一致したあらゆることを成し遂げることのできるお方です。「ああ、神、主よ、ご覧ください。あなたは大いなる力と、伸ばされた御腕をもって天と地を造られました。あなたにとって不可能なことは一つもありません。」（エレミヤ32:17）「 イエスは彼らをじっと見て言われた。『それは人にはできないことです。しかし、神は違います。神にはどんなことでもできるのです。』」（マルコ10:27）

　神がご自身の力を行使される時、それはいつもご自身の聖なる本質と一貫しています。したがって、神は偽ることのないお方です（テトス1:2）。また約束を破ることもなさいません（ヘブル6:17～18）。神が高齢になったアブラハムになさった約束は、人間的には不可能に思える事でしたが、神はそのことを実現されました。「主にとって不可能なことがあるだろうか。わたしは来年の今ごろ、定めた時に、あなたのところに戻って来る。そのとき、サラには男の子が生まれている。」（創世記18:14）

　また、聖書の神は全知なる神です。「人が神に知識を教えようとするのか。神は、高ぶる者たちにさばきを下されるのだ。」（ヨブ21:22）人間が神に教えることはできません。神はあなたの一切を、あなた自身よりもよく知っておられます（詩篇139:1～4）。神の思いはあなたの思いよりもはるかに高いのです。

2.神の愛（ヨハネ3:16）

　実際、ある人は幸いな人生を送って安らかに死に、またある人は苦悩の内に死にます。人の生き死に、また人生の幸不幸もすべて神の御手の中にあります。人の幸いや災いの原因の全てを、私たちは知ることはできません。しかし、幸いと災いと支配しておられる神を知ることはできます。しかもその神が、ひとり子イエス・キリストを与えてくださるほどに私たちを愛してくださっているのです。この救いを信じることができたことに勝る幸いはないのです。地上的な人生の幸いや禍いを超えて、救いにより主ご自身の素晴らしさに心が満たされます。クリスマスが近づいています。もう一度、神の愛を深く聖書から教えられましょう！そして、全知全能の神、愛なる神を信頼していきましょう！（ヨハネ3:16）