主は私たちの義

序

　エレミヤ22章はエルサレムの崩壊とバビロン捕囚についての預言です。エレミヤは自分の命の危険をも顧みずに、王や指導者たちの悪を叱責しました（2節）。悪事を悔い改め、公正（神への信仰によって成り立つ統治）と正義（神との正しい関わり、貧しい者に憐れみを示すこと）を行うならば繁栄するが、そうでなければ必ず滅亡し、エルサレムは廃墟となると預言しました（3～5節）。エルサレムにある素晴らしい王の宮殿も、神が裁かれる時に廃墟となると記されています（6～7節）。それはイスラエルの民が自分たちの神に背を向け、神との契約を破り、他の神々を拝むようになったからです（8～9節）。

　「死んだ者」（10節）とは、エジプトとの戦いで戦死したヨシヤを指し、「去って行く者」（10節）とは、わずか3カ月間王であった後、エジプトに連れ去られ、その地で死んだシャルム（エホアハズ）を指しています（11～12節）。13～19節はエホアハズの後、王なったエホヤキムの不正に対する審判と、20～30節はその後、王位に着いたエコンヤ（エホヤキン）の末路についての預言です。

1.主は私たちの義（エレミヤ23:1～8）

　エレミヤ23:1～8にはメシア（救い主）預言が含まれています。「牧者たち」（1節）という言葉には、王を含むユダ王国の指導者たちと宗教的な指導者たちが含まれています。指導者たちは、正しいことを行わず、そのため民は散らされたのだと神は責めました。神は散らされた民を各地から集め、元の場所に連れ帰り、別の忠実な指導者たちを牧者として立てられると言われました（2～4節）。捕囚からの回復の預言と考えられます。

　「一つの正しい若枝」（5節）とはメシアを指します。背信の時代は神の審判とともに終わりを告げ、残された者たちは捕囚から回復されます。神はメシアの来臨とともに新しい時代を備えられ、このメシアが地を公正に治められます（5節）。ユダ（イスラエル全体も）は救われ、神の名前は「主は私たちの義」（6節）と呼ばれます。メシアは契約に忠実であり、義を行い（神と民の関係を回復し）、イスラエルは祝福と平安に預かるのです。

2.キリストは私たちの義（Ⅰコリント1:30）

　パウロは「キリストは、私たちにとって…義」（Ⅰコリント1:30）と記しました。「十字架のことばは…救われる私たちには神の力です。」（18節） 罪のゆえに何もできない者であるのに、十字架の救いはその人を新しくさせる力があるからです。「神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからです。」（25節）

　このような救いを、お与えなったことについて神には計画がありました。神は賢い者や力ある者を辱めるために、「愚かな者」や「弱い者」をあえて選ばれたのです（27節）。賢い者が自分の知恵を誇っている限り、救われることはありません。力ある者が自分の力を頼みとしている間は救われないのです。誰でも自分の罪を知り、自分が無力で愚かな者であることを自覚しなければ救われることはできないのです。イエス･キリストの十字架を信じるときに、「無に等しい者」であっても救われるのです。それは、「だれも神の御前で誇ることがないようにするためです。」（29節）

　「 しかし、あなたがたは神によってキリスト・イエスのうちにあります。キリストは、私たちにとって神からの知恵、すなわち、義と聖と贖いになられました。」（Ⅰコリ 1:30） 知恵とは神を知るための知恵です。私たちはキリストによって神を知ることができるのです。神を知る時、キリストが私たちにとって、義と聖と贖いになられたことがわかるのです。①キリストが私たちの義となってくださったとは以下の意味です。私たちは罪に汚れた者ですから、神の前に立つことはできません。ただ、キリストが私たちの罪のために十字架にかかって死んでくださったことによって、私たちは神の前に義なる者（罪のない者）と認められ、救われるのです。もはや、裁かれることはありません （ローマ8:1）。②キリストが聖となってくださったとは、罪があるにもかかわらず、聖なる者として扱われるようになったということです。聖なる者にされるとは、神に受け入れられ、神に属する者にされたことです。③また、キリストは贖いとなってくださいました。キリストの代価によって私たちは罪から買い戻されたのです。それのみか、再臨の時、私たちのからだも贖われるのです（ローマ8:23）。私たちも「主は私たちの義」「キリストは、私たちにとって神からの知恵、すなわち、義と聖と贖いになられました。」と告白していきましょう！