栄光の自由

序

　ローマ書8章には、キリストにある者の自由と勝利が記されています。ここでは、聖霊によるキリスト者の歩み（1～11節）、キリスト者は神の子とされていること（12～17節）が記されています。

1.栄光の自由（ローマ8:18～25）

　17節でパウロは終末的な御国の相続について語りましたが、18節以下においてはいっそう大胆に、キリスト者に与えられている終末的自由への希望を語っています。18節では、キリストの再臨の時に実現する栄光と、現在キリスト者がキリストに従うことで受けている苦難を比較しています。「今の時の苦難は、やがて私たちに啓示される栄光に比べれば、取るに足らない」のです。19～21節では「被造物のうめき」について記されています。ここでの被造物とは人間以外の被造物のことです。人間の堕落と救いは人間以外の被造物をも巻き込むのです。アダムの堕落のゆえに、神は地をのろわれました（創世記3:17）。再臨の日、キリスト者に神の子としての身分が完全に現わされる時、神の栄光が私たちの上に輝きます。この時、虚無に服していた被造物も栄光の自由にあずかるのです。

　23～25節には私たちの望みが記されています。キリスト者がうめくほどに望んでいることは、「子にしていただくこと…私たちのからだが贖われること」です。それにより、栄光のからだに変えられるのです。御霊は、そのことの保証です。キリスト者は「御霊の初穂をいただいている」ので、からだの贖いを求めるのです。初穂とはここでは、神によって人間に与えられた保証を意味しています。「忍耐して」（25節）という言葉によって希望の性質が表されています。キリスト者はこの地上において、全ての被造物と苦しみや嘆きを共にしながら、栄光の自由（全被造物の回復）の日を待つのです。この希望を持って、信仰に励みましょう。

2.神の御計画（ローマ8:26～30）

　「御霊も、弱い私たちを助けてくださいます。」 （26～27節）　また聖霊は「うめきをもって、とりなしてくださるのです。」私たちがどう祈ったら良いかわからない弱い者なので、御霊が助けてくださるのです。神は人間の心を探り極めるお方であり、私たちの思いを知ってくださいます。神の御心にかなった正しい祈りが、なかなかできない私たちのために聖霊がとりなしてくださるのです。

　神は「すべてのことがともに働いて益となる」（28節）ようにしてくださる方です。神の救いの御計画は素晴らしいのです（29～30節）。その目的は神の栄光です。人間はサタンによって誘惑を受けました。そのため人間は堕落し、神に敵対した者となりました。しかし、神はあらかじめ計画を立てておられ、最初の状態に回復するための救いの道を用意されたのです。その救いの道は、イエス・キリストを信じる信仰によるのです。救いの全体は神の御子イエス・キリストにかかっています。神は第二の人、最後のアダムとして、神の御子を地上にお送りになりました（Ⅰコリント15:45,47）。神であり人であるイエス・キリストは、私たちの罪を十字架の上で背負ってくださいました。そして、よみがえり、天に昇り、今も私たちのためにとりなしておられるのです（ヘブル7:25 ）。イエス･キリストは今も働いておられ、私たちを保ち、支えておられます。その御業は、私たちの最終的な栄化が終わるまで続いているのです。

　神が永遠の昔から人を救いに定められたのは、御子のかたちと同じ姿にするためです。それは、御子が多くの兄弟たちの中で、長子となられるためです（ローマ8:29）。私たちはキリスト信じたことによって、キリストに結合されました。私たちはキリストの中にありキリストは私たちの中におられます（ヨハネ17:21,23）。再臨の時、キリストとの一致が完成し、キリストに似た者になります（Ⅰヨハネ3:2）。将来の救いの確かさが「栄光をお与えになりました。」（ローマ8:30）と、過去形の動詞を用いることによって、明らかにされています。私たちの救いは神の御計画の中で始まり、終末において完全に御子に似た者とされる（栄化）まで続きます。その全てが神の御業なのです。確かな救いを与えてくださった神に感謝しましょう！