主への芳ばしい香り

序

　民数記27章では、主がヨシュアをモーセの後継者として立てられたことが記されています。主は、モーセがアバリム山に登って約束の地を望み見て死ぬことを示されたので（12,13節）、モーセは後を継ぐ指導者が与えられるように願いました（17節）。主は後継者としてヨシュアを立てるよう命じられ（18節）、モーセは主のお言葉通りにヨシュアを任命しました（22節）。

1.主へのささげ物（民数記28:1～15）

　28章はささげ物について記されています。ささげ物には、常供のささげ物（28 : 3～8）、安息日のささげ物（9、10節）、新月のささげ物（11～15節）などがあります。

　天地創造の時に、神が第七日目に休まれ、安息日を守るように十戒で定められ、月の第一日は神の摂理を覚えるために守られたと考えられています。神は季節のために月を造り（詩篇104:19）、その満ち欠けによって時の巡りを私たちに教えるようにしてくださったのです。私たちは新月祭を祝う習慣はありませんが、月ごとに神に栄光を帰すことを忘れてはなりません。

　いけにえをささげる日によって、傷のない雄の子羊、羊、牛、やぎを、違った数の組み合わせでささげ、穀物のささげ物としての小麦粉の量にも、日によって規定がありました。同様に、注ぎのささげ物としてささげる酒も規定通りに加えました。罪のためのいけにえがささげられる時は、いつも雄やぎ一頭と決まっていました。この定めから、私たちは毎日、朝夕、絶えず全焼のいけにえをささげるべきことを学ぶことができます。私たちは毎日、自分自身を主にささげ、自分の献身を確認することが大事です。 「ですから、兄弟たち、私は神のあわれみによって、あなたがたに勧めます。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。それこそ、あなたがたにふさわしい礼拝です。」（ローマ 12:1）

2.芳ばしい香りを献げられたキリスト（エペソ5:2）

　民数記28:2では 「わたしへの食物のささげ物、芳ばしい香りとして、定められた時に確実にわたしに献げなければならない。」とあります。エペソ5:2では、「キリストも私たちを愛して、私たちのために、ご自分を神へのささげ物、またいけにえとし、芳ばしい香りをささげてくださいました」とあります。キリスト自らの自己犠牲によって、私たちを愛してくださったのです。何と感謝なことでしょう。

　「もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。今私が肉において生きているいのちは、私を愛し、私のためにご自分を与えてくださった、神の御子に対する信仰によるのです。」（ガラテヤ 2:20 ） 　主キリストからの一方的な愛、それもご自身を死に渡された十字架によって示された愛から始まっています。神とキリストの先んじた愛こそが、私たちを神に倣う者とさせ、愛ある歩みを踏み出させる原動力なのです。「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、宥めのささげ物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです。」（Ⅰヨハネ 4:10） 　キリストは神へのささげ物、またいけにえとして、芳ばしい香りとして差し出されました。イエス・キリストの死こそ、本当に神に受け入れられるささげ物であることが示されています。芳ばしい香りとは、旧約聖書において神が全焼のいけにえを、喜びをもって受け入れてくださることを描いた表現です（創世記8:21、出エジプト29:18など）。 　神を無視して「私たちもみな、不従順の子らの中にあって、かつては自分の肉の欲のままに生き、肉と心の望むことを行い、ほかの人たちと同じように、生まれながら御怒りを受けるべき子らでした。」（エペソ 2:3）

　そのような私たちのために神の御子が、十字架の犠牲によって罪を処分してくださったことが、芳ばしい香りの火によるささげ物として表現されているのです。 「また、愛のうちに歩みなさい。キリストも私たちを愛して、私たちのために、ご自分を神へのささげ物、またいけにえとし、芳ばしい香りを献げてくださいました。」（エペソ 5:2）

　ですからこの神の愛に応答して、私たちも愛のうちを歩みましょう！