祝福される神の民

序

民数記22:2から24:25にかけて、モアブの王バラクと預言者バラムのことが記されています。

　王はバラムを招くために、モアブとミディアンの長老たちを派遣しました（22:4～5）。一行を迎えたバラムは、主が告げられる通りのことを答えると約束し、彼らを泊まらせました。その夜、神はバラムに、「彼らと一緒に行ってはならない」（12節）と語られたので、バラムは使者たちを帰らせました。

　二回目の使者たちが、「イスラエルに呪いをかけてください」と来て願ったので、再度、泊めました。夜、神はバラムの心が分かっていたので、「彼らと一緒に行け」（20節）と言われました。翌朝、彼が自分のろばに鞍をつけて出かけると、主の使いが抜き身の剣を手に持って、道を塞ぎましたが、バラムの目は覆われていたので見えませんでした。ろばには主の使いを見えたので、畑へ、そして狭い道に逃げ、石垣に身を押し付け、ついにはうずくまりました。腹を立てたバラムが、杖でろばを打つと、主によって口を開かれたろばは抗議をしました。その時、バラムは、目の覆いが除かれ、主の使いが立ちはだかっているのを見ました。伏し拝んでいるバラムに向かって、主の使いは、主の言葉だけを伝えるように命じられました（35節）。

　バラムは国境まで迎えに来て、バラクと一緒にキルヤテ・フツォテに着きました（39節）。翌朝、彼らは、そこに上り、イスラエルの宿営を見下ろしました。

1.もう一つ別の場所へ（民数記23:27～30）

　バラムは七つの祭壇を築かせ、その上で七頭の雄牛を捧げ、それから少し離れたところに行き、主の御言葉を求めました（23:1～3）。主はバラムの口に御言葉を与え、彼にイスラエルを祝福させました。10節は、イスラエルが将来わたってずっと、祝福されることを示しています。私たちもイエス・キリストを信じることにより、呪いの世界から救い出され、祝福を受け継ぐ者となったのです。「キリストは、ご自分が私たちのためにのろわれた者となることで、私たちを律法ののろいから贖い出してくださいました。『木にかけられた者はみな、のろわれている』と書いてあるからです。それは、アブラハムへの祝福がキリスト・イエスによって異邦人に及び、私たちが信仰によって約束の御霊を受けるようになるためでした。」（ガラテヤ3:13～14）

　バラムがイスラエルを祝福したことに苛立ったバラクは、イスラエルの一部しか見えない他の所、ピスガの頂にバラムを導き、イスラエルを呪わせようとしました（民数記23:13～14）。しかし、主は再びバラムにイスラエルを祝福させました。バラクは、さらに別の頂上にバラムを連れて行き、そこからイスラエルを呪わせようとしました（27～28節）。バラクは何としても、バラムにイスラエル人を呪わせようとしたのです。私たちの敵であるサタンは、私たちを執拗に狙っているので、注意しなければなりません。「身を慎み、目を覚ましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、吼えたける獅子のように、だれかを食い尽くそうと探し回っています。」（Ⅰペテロ5:8）。

2.目の開かれた者（民数記24:1～9）

　三度、いけにえをささげたバラムは、まじないを求めに行こうとせず、その顔を荒野に向け、イスラエルの宿営を眺めました（1～2節）。イスラエルを祝福することが主の御心にかなうことを知り、神の霊に満たされ、「目の開かれた者」（3節）として、神の御告げを語りました。イスラエルの宿営の美しさを、バラムは霊の目で歌いあげました。イスラエルは祝福により大きく成長したのです。アガク（7節）は、Ⅰサムエル15:8のアマレクの王のことではなく、モアブが偉大な人物として恐れていた王です。イスラエルは強力な王をいただき、王国になりました。「あなた（イスラエル）を祝福する者は祝福され、あなたを呪う者は呪われる。」（民数記24:9）。

　こうしてバラクがバラムを招き寄せて、イスラエルを呪わせ、彼らを攻撃しようとする計画は砕かれました。この後、バラムは、25章のバアル・ぺオルの事件の報復として、ミディアン戦争において殺害されました（31:8,16、ヨシュア13:22）。バラムは、イスラエルを不品行に誘惑する策略をモアブやミディアン人に授けて、不義の報酬を得るという失敗（Ⅱペテロ2:15,16、ユダ11、黙示録2:14）を再度、犯したのです。バラムのようにならないように注意し、私たちは信仰によって歩みましょう！