アロンの杖

序

　イスラエルの民は不信仰のために、40年間荒野をさまようことになりました。民数記13:26には、人々がカデシュに着き、20:1でもう一度カデシュに戻ったことが書かれています。この期間に不信仰の世代が死にました。

　コラ、ダタン、アビラムとオンは、モーセとアロンに反逆しました（16章）。二人は彼らと主の前にひれ伏し、主の裁きを受けようといいました。主はコラとその仲間たちを火で焼き尽くし、コラに属する者とダタン、アビラムの家族は地に吞み込まれました（31～35節）。

　しかし、コラの子たちは死にませんでした（26:11）。コラ族は主の宮で門衛や歌うたいとして奉仕しました（Ⅰ歴代誌9:19,31、26:1、Ⅱ歴代誌20:19）。詩篇にはコラの子たちのマスキール、賛歌がいくつも残っています（詩篇42、44～49、84～85、88篇）。裁きの中に、主の憐れみがありました。

　その後も、民はモーセとアロンに逆らいました（民数記16:41）。そのため、主の罰が民に下されたので、モーセはアロンに命じて、イスラエルの贖いをさせました（48節）。それでようやく神罰は止みました。

1.アロンの杖（民数記17:1～11）

　イスラエルの民の不満は、なお残っていました。特にアロンの祭司職に対する不満が、露わにされました。主はモーセに向かって、イスラエルの族長から12本の杖（ヘブル語「マッテ」:部族をも意味する）を取り、その杖におのおのの名を、そしてレビの杖にはアロンの名を書かせ、あかしの箱の前に置くように命じられました（4節）。そして、「わたしが選ぶ人の杖は芽を出す。こうしてわたしは、イスラエルの子らがあなたがたに向かって言い立てている不平を、わたし自身から遠ざけ、鎮める。」（5節）と仰せられました。モーセは12本の杖を主の前に置きました（7節）。モーセは、この論争を自分で決着をつけるのではなく、主に委ねました。私たちも問題が起こったときに主に祈り、その重荷を主に委ねましょう。

　「あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。」 （Ⅰペテロ 5:7）

　神は奇跡をもって最終的に決着をつけられました（8,9節）。ほかの杖はそのままであったのに、アロンの杖だけは乾いた杖が生きた枝となり、芽を吹き、花を咲かせ、実がなりました。これは超自然的なことでした。これは、祭司職に選ばれたのはアロンであり、他のどの部族でもないことを明白に示すものでした。

　私たちには、アロンよりもっと優れた大祭司イエス様がおられ、ご自分をいけにえとして捧げ、天に昇り、私たちのために執り成しをしてくださっています。「しかしキリストは、すでに実現したすばらしい事柄の大祭司として来られ、人の手で造った物でない、すなわち、この被造世界の物でない、もっと偉大な、もっと完全な幕屋を通り、また、雄やぎと子牛の血によってではなく、ご自分の血によって、ただ一度だけ聖所に入り、永遠の贖いを成し遂げられました。」（ヘブル9:11～12）

　そして主は「アロンの杖をあかしの箱の前に戻して、逆らう者たちへの戒めのために、しるしとせよ。彼らの不平をわたしから全くなくせ。彼らが死ぬことのないようにするためである。」（民数記17:10）とそれを、戒めとして残すように命じられました。

　私たちには、主の十字架を覚えるために聖餐式を行います。イエス様はこう言われました。「これはあなたがたのための、わたしのからだです。わたしを覚えて、これを行いなさい。」（Ⅰコリント 11:24）

2.主に近づく（民数記17:12～13）

　主の裁きの結果、イスラエルの民は非常に恐れ、「われわれは滅びる」と叫びました。罪がある私たちは主の御前には、十字架の贖いなしには近づくことができないのです。「しかし、かつては遠く離れていたあなたがたも、今ではキリスト・イエスにあって、キリストの血によって近い者となりました。」（エペソ 2:13 ）

　また、アロンの杖に実が結んだように、私たちクリスチャンは御霊の実を結ぶことができます。「御霊の実は、愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、柔和、自制です。」（ガラテヤ5:22～23）私たちがイエス様によって選ばれたのは、「行って実が結び、その実が残るようになるためです」（ヨハネ15: 16）。イエス様の十字架の血のよって、大胆に父なる神に近づき、御霊に満たされ、御霊の実を結ぶように、祈りつつ生活していきましょう！