モーセの執り成し

序

　民数記13:1～16には、主はイスラエルの各部族の長たちをカナンの地を探るために派遣したことが書かれています。この時、モーセはホセアをヨシュアと改名しました。ホセアは「救い」、ヨシュアは「主は救い」という意味で、ヨシュアのギリシャ語読みがイエスです。17～24節はモーセの命令と偵察者の行動です。モーセは土地の良し悪しと、その地の住民の状況を調査するように命じました。25～33節は偵察の報告です。彼らはその土地の素晴らしさは認めましたが、その地の住民は追い出せないと言いました。

1.モーセの執り成し（民数記14:11～19）

　14章1～12節は、全会衆は報告を聞いて、エジプトに帰ろうと言い出し、モーセとアロンはひれ伏しました。ヨシュアとカレブが「その地の人々を恐れてはならない。」（9節）と説得すると、全会衆は、彼らを石打にしようとしました。そのため主は、イスラエルへの裁きと、モーセ一族を選びの民にすると、モーセに告げられました。

　そこでモーセは民のために執り成しの祈り（13～19節）をしました。モーセは主の名誉と恵みに訴えて、民のために必死に執り成しました。今までもモーセは、何度もイスラエルの民のために、執り成しの祈りをしてきました。彼らが金の子牛を造り、主の怒りを引き起こした時も（出エジプト32:11～13）、モーセが破れ口に立って執り成しをしていなかったら決定的な破滅が、もたらされたでしょう（詩篇106:23）。モーセの執り成しはイエス様の執り成しのようです。イエス様は十字架の上で「父よ、彼らをお赦しください。彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです。」（ルカ 23:34）と祈られました。そして、「自分を迫害する者のために祈りなさい」（マタイ5: 44）とも教えられました。モーセは、「主は怒るのに遅く、恵み豊かであり、咎と背きを赦す」（民数記14:18）お方であると祈りの中で告白しています。さらに、過去の経験をもとに。「エジプトから今に至るまで耐え忍んでくださったように、どうかこの民の咎をあなたの大きな恵みによって赦してください」（19節）と祈りました。

　11章から、イスラエルの民はつぶやき始めました。食べ物のことでつぶやいてモーセに反抗し、14章では不信仰な報告者の言葉で決定的な失敗をしたのです。彼らには弱さがありました。第一は11:1～3のつぶやきで、次に激しい欲望です（11:40）。第三に指導者に対する不満で（12章）、 四番目は不信仰です。不信仰とは、神が最善のものを与えられることを認めないことです。この日、荒野をおいて神がお怒りになったのは彼らの不信仰のためでした（ヘブル3:8）。不信仰は大きな罪であり（Ⅰヨハネ5:10 ）、根源的な罪です（ヘブル3:12）。このような旧約聖書の出来事は現代の私たちへの戒めなのです。「これらのことが彼らに起こったのは、戒めのためであり、それが書かれたのは、世の終わりに臨んでいる私たちへの教訓とするためです。」（Ⅰコリント 10:11）

2.荒野の40年（民数記14:20～25）

　主はモーセの執り成しを受け入れ、イスラエルを赦されました。主は恵み深く、憐れみ深いお方です。しかし、イスラエルの民が約束の地に入るのは、40年後のことになりました。罪のゆえに、不信仰だった世代が死に絶え、新しい世代が育つのを待たなければなりませんでした。十人の悪い報告をした人々は主の前に疫病で死んだので（36,37節）、民は悲しんで、カナンの地に攻め入ろうとしましたが、アマレク人とカナン人に討ち破られました。彼らは遅すぎたのです。神の決定は既に下されていました。「主を求めよ、お会いできる間に。呼び求めよ、近くにおられるうちに。」（イザヤ55:6）。私たちは、気づいた時に速やかに悔い改めなければなりません。

　しかも、彼らは神の臨在を軽視し、モーセと契約の箱を置き去りにして、自分たちだけで進みました。神の助けなしに自分たちでできると思い、自分の力に頼りました。神の義を退け、自分自身の義を立てようとしたのです（ローマ10:3）。

　カレブとヨシュアは信仰の人でした。カナンの地が御言葉通り素晴らしかったことを報告し、敵は強大だが、主が私たちと共におられるから大丈夫だと主張しました。主を信頼し、信仰によって物事を見たのです。二人は40年後に約束の地に入ることができました。イスラエルの民の失敗は他人事ではありません。イエス様の執り成しに支えられて、カレブのように神を信じ、従い続けましょう！そして今日という日に主を呼び求めましょう！