過越の子羊

序

　民数記8章には、主が、アロンに、ともしび皿が燭台の前を照らすように載せよと、モーセにとおして命じられたことが書かれています（1～4節）。それは、アロンの奉仕を、やりやすくするためであり、失敗をなくすためです。私たちにとって聖書のみ言葉は、人生のともしびであることを象徴しています。

　「また私たちは、さらに確かな預言のみことばを持っています。夜が明けて、明けの明星があなたがたの心に昇るまでは、暗い所を照らすともしびとして、それに目を留めているとよいのです。」（Ⅱペテロ 1:19）

　主は、レビ人を主の奉仕に献げるために、全焼のいけにえと、罪のためのいけにえを献げるように命じられました。その目的は、レビ人がイスラエルの初子に代わって主のものとされるためでした（民数記8:14,18）。

1.過越の祭り（民数記9:1～14）

　出エジプト後二年目、第一の月の14日の夕暮れに、主の命令によって、イスラエルは過越のいけにえを献げました（5節）。過越のいけにえは、イスラエルがエジプトを出る直前に献げられました（出エジプト記12章）。その時、エジプト中の初子が打たれて死にましたが、過越の子羊を屠って、その血を門柱と鴨居に塗ったイスラエルの家は、初子を打たれることなく、主の使いは通り過ぎました。過越のいけにえを献げる事は、主の救いを思い出すことでした。

　御子が十字架でご自分の血を流された日は、ちょうど過越の祭りの最中で、子羊を屠る日でした（ヨハネ18:28）。パウロは、「私たちの過越の子羊キリストは、すでに屠られたのです。」（Ⅰコリント5:7）と言いました。

　また、ペテロは「傷もなく汚れもない子羊のようなキリストの、尊い血によったのです。」 （Ⅰペテロ1:19）と記しています。神の子羊キリストが、ご自身を過越の犠牲として、十字架で血を流して死んでくださった後、神はキリストを死からからよみがえらせ、罪のための主のいけにえが、無駄でなかったことを証明されました。今は、主イエスは神の右に座しておられ、贖いの業を終えて、栄光と栄誉の冠を受けておられます。主は私たちのために贖い（ヘブル9: 12）を完成されたのです。

　「また、雄やぎと子牛の血によってではなく、ご自分の血によって、ただ一度だけ聖所に入り、永遠の贖いを成し遂げられました。」（ヘブル 9:12）

　天の大群衆の御使いは、イエス・キリストを賛美しました。「彼らは大声で言った。『屠られた子羊は、力と富と知恵と勢いと誉れと栄光と賛美を受けるにふさわしい方です。』」（黙示5:12 ）

　私たちも、主が、尊い血の贖いによって私たちを救い出してくださったことを絶えず思い起こすことが必要です。聖餐式はそのために与えられたもので、聖餐式のたびに、救い主イエス様の死と復活、救いの恵みを覚えましょう。

　過越の祭りの時に、死体によって身を汚した人々がいて、過越のいけにえを、献げることができなかった時（民数記9:6～7）、主はこの人々のために第二の月の14日にも過越を献げることを許されました（11節）。主はすべての人々を過越の喜びに招いておられるのです。

2.主の導き（民数記9:15～23）

　「幕屋が設営された日、雲が、あかしの天幕である幕屋をおおった。それは、夕方には幕屋の上にあって朝まで火のようであった。」（15節）。その間、イスラエルは宿営し、そこに留まり続け、そして雲が上ると旅立ちました（17節）。この時のイスラエルのように、私たちも主の御言葉にとどまる、即ち従うところに祝福があります。

　この雲による導きは、聖霊の導きを象徴するものです（イザヤ63:14）。神はご自分の民を格別に配慮してくださり、私たちに御言葉を与え、諭して導かれます。「あなたは 私を諭して導き 後には栄光のうちに受け入れてくださいます。」（詩篇73:24） 神の子どもである私たちは、聖霊に導かれて歩みましょう！「神の御霊に導かれる人はみな、神の子どもです。」（ローマ8:14） 　私たちが、生活のすべてで主にしたがって生きるなら、主は私たちの道をまっすぐに導かれます。「あなたの行く道すべてにおいて、主を知れ。主があなたの進む道をまっすぐにされる。」（箴言 3:6 ）日々聖書を読み、聖霊の導きを求め、主の導きに従っていきましょう！