名を数えよ

序

　民数記はイスラエルの人々がエジプトの国を出てから13ヶ月経ったときから記されています（1:1）。主が約束の地に王国を設立する途中で、イスラエルの民を軍団に編成するところから始まります。旅の途中、イスラエルの民は神に反抗したため、神はイスラエルの不服従に対して怒りを下されました。しかし、その裁きもかかわらず、神は民を、御言葉通り約束の地に導かれたのです。

1.民を数えよ（民数記1章）

　シナイ山で行われた人口調査によると、レビ人を除いた20歳以上の男子の数は、603,550名でした（45～47節）。38年後に行った別の人口調査の時は、601,730名でした（26:51）。最初に数えられた人々は、38年の間に、ヨシュアとカレブの二人以外は、すべて荒野で死にました（26:64～65）。彼らは、なぜそのように荒野で死んだのでしょうか。これが民数記を通して神が語られる大切なメッセージです。民は不信仰とつぶやきの罪のゆえに、荒野で滅ぼされたのです（Ⅰコリント10:5）。

　モーセは主が命じられたとおりに、イスラエルの民を数えました。部族ごとに一人ずつ、部族のかしらをモーセたちの助手にすること（民数記1:4）、20歳以上の軍務につくことができる男子を登録させること（3節）、またレビ人は登録させないこと（49節）も、全て主のご命令どおりにしました。主に従うことが主の民として、整えられるための最も大切な基礎です。

　ユダ族は最も数が多く、他の部族よりも多く登録されました（27節）。ユダはその子孫から救い主が生まれることになるので、「兄弟たちはおまえをたたえる」（創世記49:8）と預言されています。「私たちの主がユダ部族から出られた」（ヘブル7:14）のです。ユダ族は荒野を進む時、先頭に立ちました。それにふさわしく、どの部族よりも数の上で大きな力を与えられました。

　登録の中にレビ人が含まれていなかったのは（民数記1:47～53）、彼らには幕屋の任務を果たす使命があったので、他のイスラエルと一緒に人口調査されてはならなかったのです。金の子牛（偶像礼拝）の事件の時、彼らは他の部族と異なる態度をとり（出エジプト記32:26）、神を第一に選びました。民数記3章で、レビ族が幕屋とその用具、運搬、組み立ての任務を担うため、独自の調査がなされました。会見の天幕は神がイスラエルのただ中に臨在しておられることを象徴し、同時に神が近づきがたい聖なる方であることも示しました（1:51,53）。

2.神は覚えておられる（イザヤ49:15～16）

　登録の時、一人ずつ数えて登録させたことに注意しましょう。主は一人ひとりを大切にしてくださるお方で、私たちのことも覚えていて下さるのです。私たちも互いに、一人ひとりを大切にしましょう！

　イザヤ49:15,16において、神は二つの例えをもって民に対する変わらない愛を明らかにされました。「女が自分の乳飲み子を忘れるだろうか。自分の胎の子をあわれまないだろうか。たとえ女たちが忘れても、このわたしは、あなたを忘れない。」（イザ 49:15）普通、母親が自分の幼児を忘れる事はありません。しかし、人間は弱いので、そのようなことが起きます（哀歌4:10）。けれども、神の愛はどのような状況でも変わることがないのです。

　そして、「見よ、わたしは手のひらにあなたを刻んだ」（イザヤ49:16）とあるように、恋人が手のひらに名を彫り込んで決して相手のことを忘れないように、神はあなたの名前を手のひらに刻んでくださっているのです。神は私たち一人ひとりのことも覚えてくださっています。神は神を信じる者たちを、特別なものとして気遣っておられます。「主はご自分に属するものを知っておられる。」（Ⅱテモテ2:19）「あなたがたの名が天に書き記されていることを喜びなさい。」（ルカ10:20）

　今年一年、救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しましょう！聖書を通して、神が恵み深く、どんなに私たちのことを思ってくださるかをさらに知りましょう！「私たちの主であり、救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。イエス・キリストに栄光が、今も永遠の日に至るまでもありますように。」（Ⅱペテロ 3:18）

　そして、あらゆる場合に感謝を持って神に祈りましょう。「何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。」（ピリピ 4:6 ）