神は愛です

序

　使徒ヨハネは、この手紙を書いた目的を、手紙の中で述べています（1:4、2:1,13,14,21、5:13）。この手紙の受け取った人たちはキリストを信じ、キリストに従って生きようと思っていました。しかし、反キリストや惑わそうとする偽預言者たちがいて、困難な状況にありました。ヨハネは彼らがこのような中にあっても、勝利者になることを願いました（2:13,14、4:4、5:4,5）。

　そのため、ヨハネは第一に、いのちの源であるイエス・キリストを指し示しています。クリスチャンのいのちはキリストにあり、御子を持つ（信じる）者は、いのちを持っているのです（5:12）。

　第二に実際の生き方を教えています。神が光であるなら、その神を信じる者の生き方も光となります。神が愛であるなら、その神の子とされた者は兄弟愛を行います。信仰と生活は表裏一体です。

1.真理の教え（Ⅰヨハネ4:1～6）

　この手紙の受け取った信徒たちは、霊感を受けたという教えの全てを、無批判に受け入れる傾向にありました。彼らは超自然的なものを、すぐに神からのものとみなしてしまう危険があったのです。それ故、ヨハネは「霊をすべて信じてはいけません。偽預言者がたくさん世に出て来たので、その霊が神からのものかどうか、吟味しなさい。」（1節）と注意しました。その教えが正しいかを、見極める必要があります。イエス様も「あなたがたは彼らを実によって見分けることになります。」（マタイ7:16）と言われました。つまり、彼らの教えが聖書的かどうか真理の教えによって判別ができると共に、ヨハネも教えたように、義（Ⅰヨハネ3:10）と愛（4:8）という御霊の実によって見分けることができると教えています。

　1～3節は、その教えの内容です。人となって来られたイエス・キリストを告白するかどうかが大切です。イエスご自身が人となられた神の御子キリストだという信仰です。異端は、人間イエスのバプテスマの時に、キリストが臨み、十字架の前に去ったと、キリストが肉体を取っているように見えただけだと教えました（受肉の否定）。しかし聖書は、キリストが確かに肉体をとってこの世に来られたと教えています（ヨハネ1:14）。神であり、人である永遠の御子イエス・キリストを信じることが要です。

　4～6節では聴衆の性格について記しています。神から出た者は、私たち（使徒たちとその代表者であるヨハネ）に耳を傾けます（6節）。あなた方の内におられる御霊が（4節）、私たち（使徒たち）を通して語られる霊をはっきりと見分けられるようにしているのです（2節）。私たちも神の言葉と世の教えを見分けることができます。私たちは神の言葉に耳を傾けることによって、神の民であるかどうかが明らかになります。神からの使徒の教えに耳を傾けない者は、偽り者です。偽りの教えから身を守る方法は、手紙に書かれた真理「初めから持っていた古い命令」（2:7）、また「初めから聞いている使信」（3:11）に忠実であることです。

2.互いの愛（Ⅰヨハネ4:7～21）

　3:23でヨハネは神の命令を要約しました。それはキリストを信じているか、互いに愛し合っているかという二つの点でした。4:7からは、相互の愛を教えています。ヨハネがこの手紙で愛について教えるのは、3度目です（2:7～11、3:11～18）。「互いに愛し合いましょう。」「愛し合うべき…」（4:7,11,12）と言う勧めが、この段落で3回出てきます。なぜ互いに愛することがクリスチャンの義務なのでしょうか。それは3: 16で語られているように神がイエス・キリストによって、私たちにその犠牲的な愛を現されたからです。神は愛なので（4:8,16）、キリストによって私たちを愛してくださいました（10節）。それゆえ、 「私たちもまた、互いに愛し合うべき」（11,12節）であり、「神も私たちのうちにとどまって」（13節）くださるのです。

　クリスマスの日に、父なる神が御子この世に遣わしてくださった大きな愛をもう一度深く思い、感謝しましょう！そして、神に愛された者として「互いに愛し合いましょう。」それができるように、神は私たちに御霊を注いでくださっています（ローマ5:5）。ハレルヤ！