罪の告白

序

　ダニエル書7章からは預言的な部分に入ります。7章ではダニエルは、4頭の大きな獣が海から上がってくる幻を見て、心のうちで悩みました。すると、その解き明かしが示されました。8章でダニエルは、再び幻を見ました。それは川岸に立っている雄羊に、雄やぎが突進して雄羊を打ち倒すという幻でした。そして、ダニエルにその解き明かしが示されました。

1.ダニエル罪を告白する（ダニエル9章）

　ダニエルはエレミヤの預言により、捕囚が70年間であることを知り（2節）、まもなくその期間が終わることを悟りました。エレミヤの預言はエレミヤ25:11,12と29:10を指します。そこでダニエルは、「顔を神である主に向けて断食をし、粗布をまとって灰をかぶり、祈りと哀願をもって主を求め…」（ダニエル 9:3）、祈り、神の民の罪を告白しました（ダニエル9:4～19）。彼は、自分たちの罪を悲しみ、悔い改め、神に赦しを求めました。ダニエルは、祈る時に「私たち」と表現し、自分を含めたイスラエルの民全体の罪を告白しています（5節）。神の民は、神に反逆し、故意に神に逆らいました（6節）。神のあわれみにすがる以外に道はありません（9節）。ダニエルは神の裁きの正しさを認め（14節）、神が、かつて「ご自分の民を力強い御手をもってエジプトの地から導き出し」（15節）てくださった方であること述べ、あわれみを求めて祈りました。彼は「耳を傾けて聞いてください」（19節）と懸命に神に訴え、ただ神の大いなるあわれみにより頼んだのです。私たちも、ダニエルのように、神の前に罪を悔い改めて祈りましょう。 　すると、神のもとからガブリエルが遣わされ（21節）、「七十週」（ヘブル語:七の七十）の預言が与えられました（24～27節）。それは、ダニエルが罪の告白をし、神に赦しを求めて祈ったことに対する答えでした。イスラエルとエルサレムをきよめるため七十週（七が週と訳されているので様々な解釈があるが、神が定められたある特定の期間と解するのが良い）が定められ、69週（7週と62週）後、「油注がれた者」（25,26節）が来られ、死なれ「罪を終わらせ、咎の宥めを行い、永遠の義をもたら」（24節）すのです。そして、エルサレムが破壊され、終わりに「定められた破滅が、荒らす者の上に降りかかる」（27節）、つまり神に敵対している者が裁かれるのです。

2.荒らす忌まわしいもの（マタイ24:15）

　イエス様はマタイ24:1～14で、終末が来るまでの7つの前兆を語られました。これらの預言の多くは、紀元70年のローマ軍による神殿破壊で文字通りに成就しました。「ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい」（16節）と言う命令も、文字通り成就しました。その時、ユダヤ教徒は神殿に立てこもりましたが、クリスチャンは命令通りに、遥かペレヤ地方まで避難し助かりました。

　しかし、これらの預言は、神殿破壊で実現したのですが、イエス様は終末のしるしを語る一つの比喩としても用いられたのです。これは終末へ向かってのクリスチャンの心得なのです。

　「彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物をやめさせる。忌まわしいものの翼の上に、荒らす者が現れる。そしてついには、定められた破滅が、荒らす者の上に降りかかる。」（ダニエル9:27）とあります。解釈の難しいところですが、「汚された神殿（忌まわしいもの）の頂（翼）に荒らす者が現れる」と理解できます。「それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす忌まわしいもの』が聖なる所に立っているのを見たら─読者はよく理解せよ─」（マタイ24:15）とあるように、「荒らす忌まわしいものが聖なる所（神殿）に立つ」のは終わりの時です。

　パウロも同じことを預言しました（Ⅱテサロニケ2:3～4,8）。終末に自分を神とする「不法の者」（荒らす者）が現れます。ですから、惑わされないように目を覚まし（マタイ24:42）、御言葉に堅く立ちましょう！また、初代のクリスチャンが「山へ逃げよ」と言う命令に従ったように、私たちはこの世に背を向けなければなりません。ロトの妻はソドムの滅びを免れながら、振り返り、滅ぼされました（創世記19:26）。世の欲に惑わされないように、祈っていきましょう！（Ⅰヨハネ2:15）