主は高ぶりを打ち破られる

序

　第Ⅱサムエル15章にはアブサロムの反乱、ダビデの都落ちのことが記されています。ダビデは神の箱と祭司たち、親しい友フシャイも都に帰らせました。彼はすべてを主の御手に委ね、「主よ、どうかアヒトフェルの助言を愚かなものにしてください。」（31節）と祈りました。

　16章ではアブサロムはエルサレムに入り、アヒトフェルはアブサロムに勧めて、ダビデが残した十人の側女たちのところに入らせました。アブサロムとダビデの敵対関係を明らかに示し、アブサロムについた人々の態度をはっきりと決めさせるためだったのでしょう。そのことによって、ダビデのバテ･シェバ事件に対する主の裁きが実現しました（12:11,12）。

1.主はアヒトフェルの助言を打ち破られる（Ⅱサムエル17:1～14）

　アヒトフェルは自分の兵を率いてダビデ一行を襲い、ダビデを殺すと言い出しました。当時、アヒトフェルの助言は神の言葉のように思われていました（16:23）。すぐにダビデを追いかける作戦の良いところは、次の点でした。◎ダビデが疲れているので、わずかな兵で王の命を狙うことができる（17:2）。◎王が死ねば、民は皆アブサロムに帰順する。◎エルサレムにいるであろうスパイがダビデに情報を伝える間がないので、この作戦は完璧でした。

　一方フシャイは、◎今、ダビデは気が立っているから彼を襲うのは危険で（8節）、イスラエルの全軍を集めアブサロム自身が先頭に立って戦うのが良いと答えました。フシャイは明らかにアヒトフェルの助言がダビデにとって危険であることを知り、時間稼ぎをしたのです。

　フシャイの助言の方が劣っているように思えるのに、なぜアブサロムはフシャイの案に賛成したのでしょうか。◎アブサロムに全イスラエルを集めて安全有利な戦いをし、全軍を指揮する自分の姿を想像させ、彼の功名心を誘ったのです（11節）。

　このようにしてアブサロムはフシャイの案を採用しました。その結果アブサロムは戦いに敗れました。高ぶりは破滅に先立ちます。「高慢は破滅に先立ち、高ぶった霊は挫折に先立つ。」（箴言16:18）

　アヒトフェルは自分の案が採用されなかったので、自分の町に帰って首をくくりました。フシャイは意見を述べるとすぐ退出して、状況をダビデに伝えさせました。ヨナタンとアヒマアツは危機一髪のところ、バフリムの一人の女の気転で助かり、ダビデに迫ってくる危険を伝えることができました。「主がアヒトフェルの助言を打ち破ろうと定めておられたからである。」（Ⅱサムエル17:14）とあるように、主の守りがありました。このように、主はアヒトフェルの優れた助言を打ち破られました。主の御手に委ね、主に祈ったダビデを、主は守ってくださったのです。「味わい見つめよ。主がいつくしみ深い方であることを。幸いなことよ 主に身を避ける人は。」（詩篇34:8）

2.高ぶりを打ち倒し（Ⅱコリント10:3～6）

　パウロはコリント教会における彼の使徒権を疑う人々に、強い態度を取らずに済むようにと願いました。パウロの悪口をいう人々は、彼は肉に従って歩んでいる（神に頼らないで、欲によって生活している）と非難していたようです。パウロは肉にあって歩みましたが、肉に従って戦ったのではありません（3節）。神の御霊によって生き、神の御言葉をもって戦ったのです（神の武具については、エペソ6:14～17）。そのことにより、ギリシャ哲学や様々な思想、高ぶりをも打ち砕き、すべてのものをキリストに服従させることができたのです。

　「私たちの戦いの武器は肉のものではなく、神のために要塞を打ち倒す力があるものです。私たちは様々な議論と、神の知識に逆らって立つあらゆる高ぶりを打ち倒し、また、すべてのはかりごとを取り押さえて、キリストに服従させます。」（Ⅱコリント10:4～5）

　私たちはどうでしょうか。何によって歩み、何よってこの世の力と戦っているでしょうか。アブサロムは高ぶって、滅びました。アヒトフェルの助言は、「人が神のことばを伺って得ることばのよう」（Ⅱサムエル16:23）に思われていましたが、神はその助言をも打ち破られました。私たちは高ぶりを捨て、神の御霊に生き、神のことばに従って歩みましょう！そのことによって、まことの神に敵対する哲学や思想、さまざまな高ぶりを打ち倒すことができるのです。今週も主に依り頼む者は、勝利です！