圧倒的な勝利者

序

　第Ⅰサムエル記16章は、羊飼いの少年ダビデへの油注ぎの記事です。その容貌や背の高さによってではなく、その心のゆえに神に選ばれ（7節）、サムエルによって油を注がれたのです（12~13節）。サウル王が治めているときに、ダビデに油を注ぐということは、法的に言えば反逆に当たります。しかし、サムエルは神に従順に従いました（1～3節）。やがてダビデは神の導きにより、宮廷でサウル王に仕えるようになりました（14~23節）。

　「主の霊」がサウルを離れると、逆に「わざわいの霊」が彼を支配するようになりました（14節）。「主の霊」が激しく注がれたダビデ（13節）と、それを失ったサウルが、図らずも出会っているのです。神の不思議な摂理としか言いようがありません。

1.軽率な誓い（14:24～35）

　サウルは不従順でしかも不信仰、軽率でした。ダビデとは正反対の性質でした。ダビデは父の命じられたとおりに行動する従順さ（20節）があり、神がゴリアテに対して勝利を与えられることを信じる信仰（37節）と、約束の王位を与えるまで神を待ち望む忍耐がありました。

　ダビデは戦場にいる兄たちに弁当を届け、安否を尋ねたことで、ゴリアテの騒ぎを知りました（23節）。ダビデはその実情を探るのに深入りをし、兄たちにうぬぼれが強く怠け者だと、非難され叱られました（28節）。イスラエルの兵士たちはゴリアテを恐れて逃げ、誰かゴリアテを倒す勇者はいないのか、その者は王の婿になることができるという話をしているだけでした（24∼25節）。

　ダビデはゴリアテが、イスラエルをそしっていることに憤りを覚え（26節）、サウルに、ゴリアテが生ける神の陣をそしっていると言い（36節）、自分は獅子や熊を打ち殺し、その口から羊を救い出したことがあると語りました。その同じ主が、ペリシテ人の手から救出してくださるはずだと信じ（34∼37節）、信仰によってゴリアテを倒すことができました（48~51節）。

2.従わない罪（15: 10～23）

　私たちも主にあって、ダビデのように圧倒的な勝利者になることができるのです（ローマ8:37）。Ⅰサムエル16章13節に「主の霊がその日以来、ダビデの上に激しく下った。」とあります。すでにダビデの上には、主の霊が下っていたのです。

　「しかし、これらすべてにおいても、私たちを愛してくださった方によって、私たちは圧倒的な勝利者です。」 （ローマ 8:37）

　今日はペンテコステ礼拝です。皆が一つになって祈っていた時（使徒1:14）、聖霊に満たされました（使徒2: 4）。その日は五旬節（ギリシア語でペンテコステ）で（2節）、過越の祭りの翌日から50日目の7週の祭りに当たります。ユダヤの3大祭りの一つで、成年男子は神殿での礼拝が義務付けられていました。巡礼者たちは彼らの母国語で、主の弟子たちから神の大きなみわざを聞きました（11節）。また、ある者はぶどう酒で酔っているのではないかと、嘲る者もいました。巡礼者たちに対して、ペテロを中心とする使徒たちは答えました。今は朝の9時ですから酔っているのではありません。預言者ヨエルによる、聖霊が注がれる預言の成就であることを証しました。

　ペテロはナザレ人イエスこそ神の大きなみわざ中心であることを示しました。イエス様が無力に引き渡された背後には、神の確かな計画と予知がありました（23節）。人々が十字架につけて殺した方を、父なる神が死者の中からよみがえらせました（32節）。神の右に引き上げられたイエス様は、約束された聖霊を父なる神から受けて、信じる者に聖霊を注いでくださったのです（33節）。

　ペテロは「悔い改めて…バプテスマを受けなさい」（38節）と勧めました。これに応じて3000人がイエス様を信じ、バプテスマを受け、仲間として加えられました（41節）。このようにしてキリスト教会が始まりました。彼らは使徒たちの教えを守り、キリストを中心とする交わりを持ち、パンを裂き（聖餐式）、祈りました（42節）。私たちも聖霊に満たされ、イエス様の復活を宣べ伝えていきましょう！

　「しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」（使徒 1:8）