最初の祭壇

序

　サウルの息子ヨナタンは信仰によって勝利を得ることができました（Ⅰサムエル14:6~23）。ヨナタンは「おそらく主が我々に味方してくださるだろう」と言いました（6節）。不完全な信仰の思いであっても、神を信頼する者を神は助けてくださるのです。

　しかし、サウルの軽率な命令によって、イスラエル人はペリシテ人を多く打ち取る事は出来ませんでした。

1.軽率な誓い（14:24～35）

　サウルの浅はかな誓いによって民は苦しみました。自分の舌を制することの大切さを教えられます（ヤコブ3:6~12）。「しかし、舌を制することができる人は、だれもいません。舌は休むことのない悪であり、死の毒で満ちています。私たちは、舌で、主であり父である方をほめたたえ、同じ舌で、神の似姿に造られた人間を呪います。」（ヤコブ3:8～9）自分の力で舌を制することはできません。御霊に満たされ（エペソ5:18）、主に口の言葉をきよめていただくしかないのです。その時に感謝の言葉（5:4）と親切で塩味の効いた言葉を語ることができるのです。

　「あなたがたのことばが、いつも親切で、塩味の効いたものであるようにしなさい。そうすれば、一人ひとりにどのように答えたらよいかが分かります。」 （コロサイ4:6）

　サウルは神を第一とするような発言をし（Ⅰサムエル14:34,35,39）、神に伺っていました（37,41節）。しかし、信仰が曖昧なために、考え方に一貫性がありませんでした。主に問うために祭司と話していますが、回りの騒ぎが大きくなると、主に問うことを止めさせ（18~19節）、また、敵に勝つまでは食物を断つように兵たちに誓いをさせたことが原因で、彼らを悩ませたりました（24,29節）。

　挙句の果てには、疲れて空腹の兵たちが、羊や牛を血のままで食べたことに対して裏切りだと言って責めました（33節）。そして慌てて、初めて祭壇を築きました（35節）。神に伺っても答えがないので、その原因を民の罪にあると断定し、該当者に死を持って報いることを誓いました（36∼39節）。ヨナタンが原因であったとわかると彼を殺せと命じ、助命嘆願が出ると、誓いを撤回しました（45節）。

　人に罪をかぶせるのではなく、自分こそ至らなかった部分があり、罪を犯したことを認めなければならなかったのです。私たちはどうでしょうか。

2.従わない罪（15: 10～23）

　神はサウルにアマレクを打ち、そのすべてを聖絶することを命じられました（2～3節）。しかし、サウルの行動はそれと異なっていました。アマレクを打ち滅ぼしましたが、そのすべてのものを聖絶しませんでした。彼はアマレク人の王アガクを生かし、牛や羊などの最も良いものを残しました（20~21節）。サウルの不従順の失敗により、神はサウルを退けると語られました（23節）。サウルは神の命令を知っていましたが、民が良いものを惜しんだためにその内容を譲歩してしまいました。また、サウル自身も、最上のものを滅ぼさずに神に献げる方が、神に喜ばれるに違いないと考えたのです。

　サムエルはサウルに語りました。王は神の御声に聴き従うことが第一の使命でした。それを無視する事は偶像礼拝の罪に匹敵するのです（22,23節）。ここに来てやっとサウルは罪を自覚し、告白しました（24~25節）。しかし、民の前で私の面目を立ててくださいと、サムエルに頼みました（30節）。ここにサウルの信仰の曖昧さがありました。きよい神は、神の御心を完全に行う者を求めておられるのです。それを可能にする者がいるでしょうか。人間は皆、罪人で、サウルと同じように神に完全に従うことはできません。ただイエス・キリストを信じることによってのみ、私たちは義とされ、救われるのです（ローマ3:23∼24節）。

　「すべての人は罪を犯して、神の栄光を受けることができず、神の恵みにより、キリスト・イエスによる贖いを通して、価なしに義と認められるからです。」 （ローマ3:23～24）

　キリスト・イエスを信じ、神の御霊に導かれるとき、私たちは御霊によってからだの行いを殺し、神に従っていくことができるのです（ローマ8:13∼14）。

　「もし肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬことになります。しかし、もし御霊によってからだの行いを殺すなら、あなたがたは生きます。」（ローマ 8:13）