創造者なる神

序

　「サムエルのことばが全イスラエルに行き渡った」（Ⅰサムエル4:1）にもかかわらず、神の箱の騒動が起こり、ペリシテに敗北しなければならなかったのは、残念なことでした。神はエリの家庭の罪を長く忍耐しておられましたが、3章で語られた裁きをとうとう行われたのです。忍耐深い神が、ひとたび事を行うなら、それは速やかになされるのです。

1.神の栄光が去った（4章）

　イスラエルの長老たちは、なぜ主は我々を打ったのだろうと考えました（3節）。悔い改めて主に立ち返る道を選ぶのではなく、手っ取り早く勝つ方法を考えました。それは主の契約の箱を運んでくることでした。契約の箱は神が作るように命じられ（出エジプト25:10）、イスラエルが荒野をさまよっていた時も、箱はイスラエルの真ん中にありました。ヨルダン川を渡った時も、エリコの町が崩壊した時もそうでした（ヨシュア3,6章）。

　「主の契約の箱が陣営に来たとき、全イスラエルは大歓声をあげた」（Ⅰサムエル4:5）のです。その歓声を聞いてペリシテ軍は恐れ、一致団結して戦いました。その結果、全イスラエルは惨めにも敗北し、神の箱は奪われ、エリの息子二人も死にました（10∼11節）。その知らせを聞いたエリは倒れて死に、ピネハスの妻は子どもに「イ・カボテ」（栄光がない）と名づけて死にました。預言通り、エリの家は滅亡したのです。

　私たちもイスラエルの人々の失敗から学ばなければなりません。何よりも神との関係を正すことを第一にしなければなりません。罪を悔い改め、謙遜に神に立ち返ることです。そのことがなければ、形式的に様々なことをしても意味がないのです。

2.偶像が倒れる（5章）

　悔い改めもせず、ただ運んできただけのこの戦いでは、神の箱は力を発揮しませんでした。しかし、イスラエルの神が無力であったわけではありません。神の箱はペリシテ人に、持ち去られ、偶像のダゴンへ戦利品として安置されました。その後、ダゴンが倒れ、頭と両手を切り放されて、神の箱の前にうつぶせになるという出来事が起こりました（4節）。次には疫病が起こり、人々は神の箱によるものだと思いました。ペリシテ人はイスラエルの主の手（6,7,9,11節）が、重くのしかかっていることを知りました。イスラエルの神は、力ある、活ける神です。また、偶像を嫌われます（出エジプト20:3~4）。

　「あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない。あなたは自分のために偶像を造ってはならない。上の天にあるものでも、下の地にあるものでも、地の下の水の中にあるものでも、いかなる形をも造ってはならない。」（出エジプト20:3～4）。

　イスラエルの神は偶像ではなく、まことの神であり、人格的な存在です。そして世界の創造者です。偶像は人間が作り上げたものです（エレミヤ10:3∼5）。イスラエルの神は、ダゴンの倒壊や伝染病によってペリシテの町の叫びを天まで上らせ、ご自身がまことの神であることを、証されたのです。 神はすべての創造者です（創世記1:1、黙示録4:11）。

　「主よ、私たちの神よ。あなたこそ栄光と誉れと力を受けるにふさわしい方。あなたが万物を創造されました。みこころのゆえに、それらは存在し、また創造されたのです。」（黙示 4:11）

　すべてのものは、神が創造し、存在しているのです。聖書は神のことを万物の存在の目的であり、また原因であるお方と呼んでいます（ヘブル2:10）。

　「多くの子たちを栄光に導くために、彼らの救いの創始者を多くの苦しみを通して完全な者とされたのは、万物の存在の目的であり、また原因でもある神に、ふさわしいことであったのです。」（ヘブル 2:10 ） 　すべては神のために存在しており、人間が神を礼拝するのは当然なことなのです。そして、創造者以外の神々を礼拝する事は間違いです。私たちは唯一の創造者なる、まことの神を礼拝していきましょう！