神のあわれみを学ぶ

序

　北王国イスラエルに関してのヨナの預言（イスラエルの領土回復）は、ヤロブアム2世（ヨアシュの子ヤロブアム）の時（紀元前約760年頃）に成就したと第Ⅱ列王記14:25～27に記録されています。そのことからヨナは、紀元前8世紀の預言者だと思われます。ヨナの故郷はイエス様の故郷ナザレに近いガテ・へフェル（第Ⅱ列王記14:25 ）でした。

　ヨナは神から、ニネベに行って神の言葉を伝えるように命じられました。ニネベはアッシリアの首都で、イスラエル人にとっては敵国でした。それゆえヨナは、自分の説教によってニネベが神の裁きを免れるのではないかと思い、神が命じられた任務から逃げ出しました。その結果、ヨナが乗った船は難破しそうになりました（ヨナ1:4）。嵐は神の裁きでした。ヨナは不従順の代価として、自分の命を危うく失うところでした。

　しかし、神はあわれみ深く、大きな魚を備えヨナを救われたのです。ヨナは悔い改め、神に対して誓いを果たしますと約束しました（2:9）。ヨナは神が命じられた通りにニネベに行き説教しました。その結果、ニネベの人々は悔い改め、救われました（3:10）。しかし、約150年後に、ニネベは再び神から離れ、滅亡しました（紀元前612年）。

1.神のあわれみを学ぶ（4:1～11）

　ヨナはニネベへの神のあわれみを喜べませんでした。ヨナは都の外に仮小屋を作り、そこで都が破壊されることを期待して待つことにしました（4:5）。神はヨナをあわれみ、厳しい暑さから守るために一本の唐胡麻（とうごま）を備えられました（6節）。ヨナはその唐胡麻よる陰を非常に喜びましたが、神がそれを取り去られた時（ 7節）、ヨナは枯れてしまった一本の唐胡麻を惜しみました（10節）。神は一本の唐胡麻を惜しんでいるこのヨナに、アッシリアの人たちに対する神のあわれみを教えられました（11節）。救いはイスラエル人だけではなく異邦人にも及ぶのです。私たちも神のあわれみを、もっと深く教えられましょう！

　「あわれみ深い者は幸いです。その人たちはあわれみを受けるからです。」（マタイ 5:7）

　また神は私たちの人生に様々なものを備えてくださいます。試練を通されることもありますし、また思いがけない助けも備えられるのです。このヨナ書では、神はヨナに大風（1:4）、大きな魚（1:17 ）、唐胡麻（4:6）、虫（4:7）、東風4:8）を備えられました。神は私たちの人生に、試練とともに脱出の道を備えて下さるのです。

　「あなたがたが経験した試練はみな、人の知らないものではありません。神は真実な方です。あなたがたを耐えられない試練にあわせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えていてくださいます。」（第Ⅰコリント10:13）。　

2.キリストの啓示（マタイ12:40）

　ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいた事は、キリストについての預言でした。イエス・キリストは復活の前にヨナと同じ三日間、墓の中におられました（マタイ12:40）。

　律法学者、パリサイ人がイエス様に「しるしを見せてください」と頼んだことが、ここに記されています（38節）。イエス様は「預言者ヨナのしるしの他には何のしるしも与えられていない」と答えられました（39～40節）。ヨナは三日三晩も海に沈み、死んでしまったに違いないと思われていたところから不思議にも救い出されました。イエス様も三日三晩、地の中にいて、絶対死んだはずなのに三日目に死人の中から復活されたのです。イエス・キリストは、人間であると同時に神の御子であられるのです。死人からの復活によって神の御子であることが公に立証されたのです。

　「御子に関するものです。御子は、肉によればダビデの子孫から生まれ、聖なる霊によれば、死者の中からの復活により、力ある神の子として公に示された方、私たちの主イエス・キリストです。」（ローマ1:3～4）。

　さらにイエス様は、ニネベの人々が、この時代の人々と共に立って、この時代の人々を罪に定めると言われました。なぜならニネベの人々は、ヨナの説教によって悔い改めたからです。イエス様はご自分のことをヨナに優るものだとおっしゃいました（マタイ12:41）。イエス様こそ死からよみがえられた真の神、救い主なのです。