回復の恵み

序

　ヨエル書は2つの部分に分けられます。前半は、いなごの災害と結びついたヨエルの時代の様子（1:1～2:17）、後半は、将来に関する預言です（2:18～3:21）。著者はペトエルの子ヨエルです。

　ヨエル書の中心となる主題は主の日です。ヨエルは、主の日が近い事を預言します（1:15、2:1、3:14）。いなごによる天災とそれに続く災害は、恐ろしい主の日が接近していることの神の警告です（1:15）。ヨエルは、いなごの災害によって神の審判が近いことを伝え、民に悔い改めを迫ります（2:12～17）。人々はヨエルのメッセージに答え、審判は回避されました（2:18～27）。

　しかし、差し迫った審判が回避されたからといって、主の日が取り除かれた訳ではありません。その日は、必ず来ます。神を知り礼拝する人々にとって、その日は祝福と回復の日になります。しかし、神に敵対する人々にとっては、破滅と荒廃の日になるのです。

1.諸国民の裁き（3:1～15）　

　神の審判は、神がすべての国民をヨシャファテの谷に集めるときに起こります。それは、イスラエルにとって回復の時です（1節）。神はイスラエルの民たちを捕え移した諸国民（ツロ、シドン、ぺリシテなど）を裁かれます。彼らの罪は2～3節に述べられています。

　7～8節では、これらの犯罪者に対して、神が報復される（彼らの子どもたちがユダの人々によって、南アラビアのシェバ人に売り渡される）ことが記されています。9節では、諸国民は戦いの備えをせよと呼びかけられています。ヨエルは今、皮肉にも神の敵に向かって聖戦の備えをし、神に向かって戦うようにと命じます。そして、戦いを仕掛けてくる彼らに対して「勇士たちを下らせてください」（11節）と、ヨエルは祈ります。

2.回復の恵み（ヨハネ3:16）

　神の霊の注ぎに関するヨエルの預言（2:28～32）は、ペンテコステにおけるペテロの説教の中で、キリスト教会の誕生に於いて成就しました（使徒2:17～21）。私たちも聖霊の注ぎを祈り求めましょう！パウロは、ユダヤ人もギリシア人も主の名を呼ぶものは皆、救われると言う真理を、ヨエルの預言（ヨエル2:32）の言葉を引用して証明しています（ローマ10:10～13）。誰でも主の御名を呼ぶならば、救われるのです。このようにヨエルの言葉は新約聖書の大事なところで引用されています。

　また、ヨエル2:25には回復の恵みが記されています。いなごによって食い荒らされた年々がありましたが、神は回復してくださるのです。私たちの生涯にも様々な失敗や後悔があります。しかし、それに気づいたなら、心を尽くして、主に立ち返らなければいけません。そうするなら、主は失った分を回復してくださるのです。

　「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」 （ヨハネ 3:16）

　神は私たちを愛するゆえに、ご自分のひとり子を私たちに与えてくださったのです。今から約二千年前、ユダヤのヘロデ大王と言う人物が治めていた時代に、エルサレムの南にあるベツレヘムで、イエス様がお生まれになりました。永遠に神である方が、一人の人間となってこの世界に来られたのです。幼い頃、ヘロデ王に命を狙われ、エジプトに逃れましたが、その後、北のガリラヤ地方のナザレに移り、そこで育ちました。やがて私たちの罪の身代わりとして、十字架につけられ死なれました。人は、キリストの身代わりによって罪が赦され、父なる神のもとに立ち返ることができるのです。そして、主イエス・キリストは、三日目によみがえり、今も生きておられるのです。今日はクリスマス礼拝です。神のもとに立ち返る回復の時なのです。神が私たちを愛し、その独り子をお与えになったその大きな愛に感謝しましょう！

　今日は、聖餐に預かります。主の十字架の肉と血を受けることにより、救いの恵みが確かであることを覚え、私たちがキリストにあって一つであり、互いに主にある家族であることを覚えましょう！