神のさばき

序

　ミディアン人に大勝利を得て帰ってきたギデオンに対し、イスラエル人は、ギデオンとその息子、孫が王となり自分たちを治めてほしいと願いました（士師8:22）。しかしギデオンは、「主があなた方を治められます」（23節）と素晴らしい答えをしました。 しかし、このような後、ギデオンは失敗します。

　「ですから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけなさい。」（Ⅰコリント 10:12）

　ギデオンは人々から金の耳輪などを集め、それでエポデを作りました。エポデは、大祭司が神の御心を伺うときに着るものでした（出エジプト28:6~30）。どのように用いたのかは書かれていません。偶像を作り、それにエポデを着せたのかもしれません。イスラエル人は皆、それを慕って、そこで罪を行いました。また、ギデオンは大勢の妻や側女を持ちました。これも、神の戒めにそむく事でした（申命17: 17）。　

1.アビメレクが王となる（士師9:1～21）

　エルバアル（9章ではギデオンをエルバアルと呼んでいます）の子、アビメレクは父の死後、シェケムにいる自分の母の身内の者たちのところに行き、一族全員を集めて自分の野心を語りました（1節）。アビメレクは人々を雇い、自分の異母兄弟であるエルバアルの息子70人を殺害しました。しかし、末の子ヨタムだけは逃れることができました（4,5節）。シェケムの人たちは、アビメレクを王としましたが（6節）、ヨタムはゲルジム山の頂上に立ち、アビメレクと彼を王にしたシェケムの人々の滅びを予告しました（7∼21節）。

2.シェケムの者たちの裏切りと滅び（9:22～45）

　「神は、わざわいの霊をアビメレクとシェケムの住民の間に送られたので、シェケムの住民たちはアビメレクを裏切った。 こうして、エルバアルの七十人の息子たちに対する暴虐への報いが現れ、彼らの血が、彼らを殺した兄弟アビメレクと、アビメレクに手を貸してその兄弟たちを殺したシェケムの住民たちの上に降りかかった。」（士師9:23,24） 　その時、ガアルとその身内の者たちがシェケムを通りかかりました。彼はアビメレクが、かつてシェケムの先祖ハモルと、その息子シェケムを殺したイスラエルの人々（創世記34章）の血を引くことを強調し、アビメレクを追い出すと言い出しました（士師9:29）。アビメレクの代理人のゼブルはそのことをアビメレクに伝えたので、アビメレクによってシェケムの町は破壊され（44,45節）、地下室に逃げた者を焼き殺しました（49節）。さらに、テベツのやぐらを焼こうとしましたが、一人の女がアビメレクの頭にひき臼の上石を投げつけて、彼を打ちました（53節）。

　このようにしてヨタムの呪い（20節）の通り、神は正しい報いを与えられたのです。

　「神は、一人ひとり、その人の行いに応じて報いられます。」（ローマ2:6）

　「思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、刈り取りもすることになります。」（ガラテヤ6:7）

　パウロは神のさばきの確かさを強調しています（使徒17:30∼31）。 キリストだけが私たちをやがて来る神の御怒りから救ってくださるのです。キリストが再び来られる時、あらゆる時代のすべての人々がさばきのためによみがえり、キリストのさばきの座に立つのです。

　「私たちはみな、善であれ悪であれ、それぞれ肉体においてした行いに応じて報いを受けるために、キリストのさばきの座の前に現れなければならないのです。」（Ⅱコリント 5:10）

　神はキリストを通して、一人ひとりにその人の行いに従って報いをお与えになります。将来にさばきがあることを知る事は、現在の悔い改めに対する呼びかけでもあります。悔い改めた者だけが、さばきの日に対する備えができているのです。

　「ですから、今、キリストの血によって義と認められた私たちが、この方によって神の怒りから救われるのは、なおいっそう確かなことです。」（ローマ 5:9）

　「ですから、悔い改めて神に立ち返りなさい。そうすれば、あなたがたの罪はぬぐい去られます。」（使徒3:19）