祭司として生きる

序

　出エジプト記29章には、祭司の任職の手続きが書かれています。まず、水によって清めにあずかり（4節）、祭司の服を着ます（5節）。次に、油注ぎを受けるのです（7節）。

　それから、雄牛（10節）が、罪のためのいけにえとして献げられます（14節）。

　また、一匹の雄羊が、全焼のいけにえ（15∼18節）として献げられます。

　罪のためのいけにえとして、雄牛を献げることで、祭司に任職される者の罪が贖われ、雄羊の全焼のいけにえによって、祭司の献身が象徴されます。　

1.奉納物と契約の箱（25: 1～16）

　19～28節には、神と祭司の交わりを確認する、即ち和解のためのいけにえとして、もう一匹の雄羊（28節）を献げることが書かれています。

　20節の、雄羊の血がアロンとその子たちの右の耳につけられ、また、彼らの右手の親指と、右足の親指にもつけられたことについてですが、耳を血で聖別するのは、主の御教えに聞き従うためであり、手と足が聖別されるのは主の御業を行うようにという意味でした。

　また、その血と注ぎの油をアロンとその子らの装束にふりかけました（21節）。それによって、神との契約関係に入ったことが暗示されているのでしょう。「揺り動かす」（26節）とは、奉納物を神にお返し、それから、それを神が祭司に与えるということを示します。

　29～34節には、アロンの装束と祭司たちがいけにえを食することが記されています。

2.宥めの蓋（17～22節）

　旧約聖書においては、祭司は神と人との間の仲保者として働きました。祭司は、人々に代わって神の前に出て、いけにえを献げ、人々の罪のための贖いをしました。また、神の前で人々のために執り成しの祈りをしました。ユダヤ教では、アロンの家系の者だけが祭司になることができました。

　イエス・キリストは、この地上に来られ、ご自分の十字架によって、旧約聖書の儀式制度のすべてを完成させてくださったのです。その故に、御子を信じることで、人は神の前に義と認められるようになったのです。もう旧約時代のように、動物のいけにえを献げる必要がなくなりました。キリストが、ご自分のからだを、いけにえとして献げてくださったからです（へブル10:10）。ですから、救われた者は、祭司の心を持つことが必要なのです。キリストを信じた人々の集まりであるキリスト教会は、旧約の祭司のように御心にかなう奉仕をし、他の人々の救いのために執り成し、キリストの恵みを伝える責任があるのです。

　新約時代においては、すべてのキリスト者が聖なる祭司とならなければなりません。一部の人だけが祭司なのではないのです。ですから、すべてのキリスト者が神から離れてしまった人々のために、神の憐れみと恵みを祈り、執り成しの祈りをするのです。 「しかし、あなたがたは選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神のものとされた民です。それは、あなたがたを闇の中から、ご自分の驚くべき光の中に召してくださった方の栄誉を、あなたがたが告げ知らせるためです。」（第Ⅰペテロ 2:9）このように、神のすばらしさ、救いの御業を宣べ伝えるために救われたのです。

　さらに次のようにも記されています。 「あなたがた自身も生ける石として霊の家に築き上げられ、神に喜ばれる霊のいけにえをイエス・キリストを通して献げる、聖なる祭司となります。」（第Ⅰペテロ 2:5）祭司である私たちは何をするのでしょうか。イエス・キリストを通して、神に喜ばれる霊のいけにえを献げるのです。具体的には、「公正を行い、誠実を愛し、へりくだって、…神と共に歩むこと」（ミカ6:6∼8）です。また、賛美と祈り、善を行い、分かち合うこと（ヘブル13:15∼16）なのです。そして、自分自身を「生きたささげ物として」神に献げることです（ローマ12:1）。

　私たちは、それぞれ小さな存在ですが神の民として組み合わされ、主のお役に立つことができるのです。私たちは皆、神に仕える祭司となります。今週も、良きわざ、信仰と賛美と祈りに励み、自分自身を神に献げましょう！