幕屋の中心であるキリスト

序

　出エジプト18～24章には神とイスラエルの民との契約について、25～40章は幕屋建設について記されています。幕屋は、天にある本物の聖所の地上における模型でした（ヘブル9:23,24）。

　幕屋は、神が住まわれる場所であり、神の臨在を示すものです（出エジプト25:8）。今は、聖霊なる神が、キリストを信じる者の心に住んでおられます。「あなたがたは、自分が神の宮であり、神の御霊が自分のうちに住んでおられることを知らないのですか。」（第Ⅰコリント3:16 ）

　人生を歩む中で、私たちはいろいろな苦難、試練にあいます。しかし、現在の苦難は、それとは比べものにならないほどの栄光をもたらします（第Ⅱコリント4:17）。パウロは死のことを、「地上の住まいである幕屋が壊れても」（第Ⅱコリント5: 1,4）と、表現しました。幕屋は壊れやすいものであり、人間の肉体も同じで、病気にかかったり怪我をしたりして、ついには死を迎えます。しかし、キリスト者にとっては、死が終わりではありません。キリストの再臨の日に、私たちのからだはイエス・キリストの栄光のからだと同じ姿に変えられるのです。「キリストは、万物をご自分に従わせることさえできる御力によって、私たちの卑しいからだを、ご自分の栄光に輝くからだと同じ姿に変えてくださいます。」（ピリピ 3:21）

　また幕屋は、神が人にお会いになる場所です（出エジプト25:22）。そこには神の律法が保管されていました（16節）。また、いけにえが捧げられる場所でした。幕屋はイエス・キリストご自身の型（予表）です。「ことば（キリスト）は人となって、私たちの間に住まわれた。」（ヨハネ1:14「住まわれた」という言葉は「幕屋を張った」という意味です）。　

1.奉納物と契約の箱（25: 1～16）

　幕屋建設の指示は、人々から建設に必要な奉納物を集めるようにと言う指示から始まっています。それは心から進んで献げる物でなければなりません（2節）。パウロもそのように教えています（第Ⅱコリント9:7）。幕屋を建設したイスラエル人のように私たちも自らを献げ、喜んで神に献げ物をしましょう。

　次いで神は、幕屋とすべての用具を、神が示される型の通りに造るように命じられました（出エジプト25:9）。幕屋を作る最大の目的は、神がイスラエル人の中に住むことを示すためでした（8節）。10~16節では契約の箱について記されています。この箱の中にはマナ入った金のつぼと、芽を出したアロンの杖、および十戒が刻まれた二枚の契約の石の板が置かれました（ヘブル9:4）。この石の板は「さとしの板」とも呼ばれました（出エジプト25:16）。それは神のみこころを教えるものだからです。今、神が最も望んでおられる事は、律法を一人ひとりの心の中に書きつけることなのです（ヘブル8:10）。

2.宥めの蓋（17～22節）

　契約の箱の蓋の両端には、二つの金のケルビムが置かれ、それらは翼を広げ、蓋を被っていました。この蓋が重要なのは、蓋の上にある二つのケルビムの間から神がモーセに語られたからです（22節、民数記7:89）。ケルビムとは、神の臨在のそばにいる聖なるみ使いたちのことです。また、ケルビムの上、すなわち宥めの蓋の上には神が座しておられると考えられていました（詩編80:1）。

　一年に一度、第七の月の十日に、大祭司はイスラエルの民のために、贖いをしました（レビ16:29,30）。大祭司は、いけにえの血による贖いを通して、このように神の臨在する聖なる場所に近づくことができました。しかし今や、キリストの血を通して、私たちは大胆にいつでも神に近づくことができるのです（ヘブル10:19）。

　今日は世界聖餐日です。十字架の上で流されたイエス様の血潮と御体を覚えて聖餐にあずかりましょう！