主はわが旗

序

　出エジプト記14章には、イスラエルの民が葦の海（紅海）を渡ったことが記されています。これは神の奇跡によるものでした。エジプト軍は滅びました。彼らはエジプト軍から救われたことを喜び、神へのモーセの歌を歌いました（15章）。16章では食べ物がないと不平を言う民に対して、神はマナとうずらを与えられました。

1.マサで（1～7節）

　水は、荒野を旅するイスラエルの民にとって常に問題でした。少し前にモーセは、マラで水が苦くて飲めなかった時に、主に祈り、水は甘くなり飲めるようになりました（15:25）。

　民はレフィディムでもで主を試みました。ここではホレブの岩を杖で打つことで、岩から水が出ると主は言われました。パウロはこの岩をキリストのことだと理解しました（第Ⅰコリント10:4）。キリストは私たちの罪のために十字架で打たれました。この受難された岩であるキリストから命の水が湧き出てくるのです（ヨハネ7:37）。

　水がないということで、モーセは民に石で殺されそうになりました。それほどに民たちの不平は根深い問題だったのです。彼らは主を試みたのです。

　聖書は「あなたがたがマサで行ったように、あなたがたの神である主を試みてはならない。」（申命記6:16）と命じています。イエス様はこのことばをもってサタンの誘惑を退けられました（マタイ4:7）。主を試みると言う事は神の真実性を疑うことであり、不信仰への道です。唯一の例外は十分の一献金だけです（マラキ3:10）。イスラエル人の不信仰のために、その場所はマサ（試みの意味）、またメリバ（争いの意味）と名付けられました。

2.主はわが旗（8～16節）

　アマレクが戦いを仕掛けてきました。アマレクはエサウの孫で、死海の南からシナイ山の北部の広い範囲にわたって住んでいた遊牧民で、イスラエルの民を攻撃することがしばしばあったようです。

　モーセはヨシュアに「男たちを選び、出て行ってアマレクと戦いなさい」（出エ17:9）と命じました。そしてモーセは、「私は明日、神の杖を手に持って、丘の頂に立ちます」と言いました。モーセが杖を上げているときはイスラエルが優勢となり、疲れて手が下がると、アマレクが優勢になりました。そのためにアロンとフルがモーセの手を両側から支えなければなりませんでした。この戦いは執り成しの祈りの型です。教会の牧師や宣教師、様々な働きのリーダーのために、アロンとフルのように共に祈る人が必要です。背後で祈り支える祈り人です。 この箇所ほど、サタンに勝利するための祈りの大切さを教える箇所はありません。モーセは疲れ果てるまでイスラエルの民のために祈り続けました。彼の祈りが前線で戦っているヨシュアに力を与えました。同じように、私たちも、心を一つにして祈りの手を上げる時、主にあって勝利できるのです。

　エパフラスはコロサイ教会のためにいつも祈りに励んでいました（コロサイ4:12）。また、パウロがテモテに対してどこででも、きよい手を上げて祈るようにと命じています（第Ⅰテモテ2:8）。私たちもモーセのように、エパフラスのように、日々祈りましょう！

　モーセは、戦いの勝利の後に祭壇を築き、アドナイ・ニシ（主はわが旗）と呼びました（16節）。神の杖こそ勝利の印となる旗だからです。

　今日においての神の杖は、キリストの十字架です。パウロは、「キリストの十字架以外に誇りとするものが、決してあってはなりません」（ガラテヤ6:14）と言っています。モーセは神の杖で勝利したように、主の十字架こそ（復活も含まれる）すべての敵に対して勝利をもたらす私たちの神の杖、勝利の旗なのです。また、「よみがえられた方であるキリスト・イエスが、神の右の座に着き、しかも私たちのために、とりなしていてくださるのです」（ローマ8:34）。主の十字架、復活、昇天、とりなしを覚えましょう。それらが私たちの勝利の旗なのです。