新天新地

序

　イザヤ65～66章は預言者イザヤの祈り（63∼64章）に対する神の応答です。これはイスラエルの民に対してのみならず、まことの神を真剣に求め信じる、すべての人に対して語られた言葉です。神は聖なるお方であり、悪をさばき、罪を責められます。と同時に、罪を悔い改める者には、罪を赦し、永遠の希望を与えられるお方です。

1.反逆の民（1～16節）

　65章の冒頭には、すべての異邦人に対する神の呼びかけが示されています。告げられた内容は、イスラエルの民は神の民としてきよくなければならないのに、神に従わず偶像礼拝に心惹かれ、律法を守らなかったにもかかわらず、自分たちは神よりもきよいなどと傲慢な態度をとっていたのです（2～5節後半）。きよい神は、そのような傲慢なイスラエルを厳しく裁くと、異邦の民に宣言されました（5節後半~7節）。ここで「報いる」という表現が3度も反復されています。神を嘲るような生き方をする者は、神の民であっても厳しくさばかれるのです。このことは、異邦の民にとっては希望でした。神の恵みはすべてのものに公平に与えられるのです。（参:ローマ10:20~21）

　主を求める歩みをする残りの者は、たとえわずかであっても滅ぼされることなく生かされます（8~10節）。神はイスラエルの民に対して恵み深いお方でした。しかし、イスラエルの民はいつも神を裏切り反逆しました。それで神は「わたしのしもべたち」（8,9,13,14節）だけを選んで残されました。「わたしのしもべたち」とは、受難のしもべイエス・キリストの身代わりの死（53章）によって救われ、神の礼拝者となる新しいイスラエルです。即ち、キリストを信じた私たちです。神は彼らに祝福を約束されました（イザヤ65:9~10）。神の呪いの場所と考えられていた「アコルの谷」（ヨシュア7:24~26）でさえも、牛の群れの伏す平和な場所へと変えられます（イザヤ65:10）。

　しかし誰であれ、まことの神に反逆し、幸運の神ガド、運命の神メニなどの偶像を礼拝する者は裁かれ滅びます（11∼12節）。これが終末の日の審判の預言です。神の前にすべてのことが祝福と呪いに分けられるのです。

2.新天新地（17～25節）

　神の創造のみわざは、第7日目に終わったのではなく（創世2:1~3）、新天新地の創造を目指しています。イザヤ65:17～18には、新天新地が創造され、すべてのものが新しくなること、19～20節には、神は喜びと楽しみのために新しい民を創造されることが記されています。そして、新しい民自体も喜ぶのです。21～23節では生活上の祝福が、24～25節では神と人との関係の回復が記されています。神は私たちが呼ばないうちに答えてくださるのです。

　神の裁きにより「今ある天と地は…火で焼かれ」ます。しかし、「義の宿る新しい天と新しい地」が用意されているのです（第Ⅱペテロ3:7∼13）。

　新天新地の聖なる都とは、新しいエルサレムです（黙示録21:1~3）。黙示録には7つの、「もはや…ない」があり、海はその最初です（21:1）。もはや死、悲しみ、叫び声、苦しみ（4節）はなく、のろわれるもの（22:3）もなく、夜（22:5）もないのです。新天新地には、神のいのち、栄光、喜び、賛美、楽しみ、祝福、光が満ちています。私たちは全被造物とともにそのことを待ち望んでいるのです（ローマ8: 22）。

　イエス・キリストが再臨されるとき、そのことが実現します。イザヤ65:17～25は、まさにその終末の新天新地の栄光に輝く祝福が描写されています。

　私たちは主の日の訪れ、主の再臨の日を待ち、目を覚まして備えている必要があります（マタイ24:42~44）。目を覚まして身を慎んでいましょう（第Ⅰテサロニケ5:6）！