神の顧み

序

　出エジプト記は創世記においてなされた神の約束の成就を記しています。ヨセフは「神は必ず　顧みてくださる。」と言いました（創世記50:25）。神は出エジプト記において、事実、イスラエルの民を顧みてくださったのです。創世記50:26の「ヨセフは…死んだ。」を受け、出エジプト1:6は「ヨセフも…死んだ。」と記しています。

1.神のご計画

　イスラエルの民は430年間エジプトに滞在していました（出エジプト12:40）。モーセはエジプトの宮殿で40年間を過ごしました（使徒7:23）。その後、荒野で羊飼いとして40年間暮らした後（出エジプト7:7）、イスラエルの民を40年間指導しました（申命記34:7）。 モーセの生涯には深い神のご計画がありました。モーセの母が彼を小さなかごに入れて、ナイル川の葦の茂みに置きました。エジプトの王女がそれを見つけ、モーセは助けられました。その後、エジプトで当時の最高の学問を身に付けることができました。そのことが後に聖書を書き記すことに役立ったのです。40年間荒野で、羊飼いをした事はその後、イスラエルの民の先頭に立って旅路を導くための備えとなりました。通されたところの全てに無駄はなかったのです。 エジプトからイスラエルの民を救い出すと言う使命を与えられたモーセの召命が、出エジプト記3、4章に記されています。それはモーセが80歳の時、ミディアンで羊飼いをしていた時でした（3:1）。燃えているのに焼け尽きない柴の中から、神はモーセに語られました。イスラエルの民を連れ出す目的は、彼らを乳と蜜の流れる地に導くためでした。神は、モーセだけでなく、わたしたちの人生にも憐れみ深い計画を持っておられるのです（エレミヤ29:11）。人生の一つ一つの出来事は偶然ではなく、神の深いご計画の中にあるのです。

2.神の名と神の御性質 （13～22節）

　出エジプト記3章には神の名とその御性質が記されています。

　神の名:モーセに啓示された神の名はアブラハムの神、 イサクの神、ヤコブの神でした（15節）。父祖の神であ り、契約を結び契約を守られる真実なお方です。その方 は「主」とも「わたしは、『わたしはある』という者であ る」とも名乗っておられます（14節）。これは永遠から 永遠に至るまで存在されるお方と言う意味です。神の永 遠性、不変性を表しています。 イエス様も「それで、あなたがたは自分の罪の中で死ぬと、あなたがたに言ったのです。わたしが『わたしはある』であることを信じなければ、あなたがたは、自分の罪の中で死ぬことになるからです。」（ヨハネ8:24 ）と言われました。イエス様は神の御子であり、永遠に存在されるお方です。

　神の御性質:神は憐れみ深いお方です。民の悩みをご覧 になり（7節）顧みてくださるお方です（16節）。またモーセ を遣わされたお方です（10,15節）。神は私たちを世に遣わ され（ヨハネ20:21）、さらに共にいて下さる神です（出エジ プト3:12）。このような神がおられるので必ず助け出され るのです。様々な奇跡によって神はエジプトを打ち、イ スラエルをそこから去らせました（20節）。エジプトを去 るときには、今まで奴隷として働いた報酬として金銀、 衣服をエジプトに要求せよと主は言われました（21,22節） このように、主は憐れみ深く、イスラエルの民だけでなく、わたしたちをも顧みてくださるのです。