主に祈るヒゼキヤ

序

　第Ⅱ歴代誌では、王たちが、次の人たちと比べられています。ダビデ（17:3,29:2）、自分の父（26:4）、背教のイスラエの王たち（28:2）、異邦の民（33:2）。この比較は主の目の前になされています。ヒゼキヤ王は、父祖ダビデが行ったとおりに、主の目にかなうことを行いました（29:2）。

　ヒゼキヤの治世に於ける働きは、大きく二つのことがあります。一つは南ユダ王国の内部における宗教改革と、もう一つはアッシリアに対する戦いです。ヒゼキヤの宗教改革によって、神殿が清められ、過越しの祭りが守られました。その結果、霊的な喜びがあり賛美がありました（29:27）。

1.ヒゼキヤの真実さ（32:1～23）

　32:1のこれらの真実なこととは、29～31章までに記されているヒゼキヤが心を尽くして行ってきたことです。彼は自分に与えられた王としての使命を成し遂げました。彼が神の家における礼拝を改革するために、真実に成し遂げたことがらを歴代誌の著者は高く評価しています。

　32章ではアッシリアの脅威に対してヒゼキヤが対処した内容が記されています。戦いに備えて敵に水を与えないようにしました（3∼4節）。第Ⅱ列王記20:20には貯水池と水道を造り、都に水を引いたとあります。このことによって籠城が可能となりました。また王は奮い立って城壁を立て直しました（5節）。さらに敵の脅しに屈せずに民を励ましました（7～8節）。

2. 神への祈り（9～23節）

　アッシリア軍が包囲したので、ヒゼキヤ王と預言者イザヤは神に助けを求めて祈りました。これが最も重要なことです。神への祈りこそが、敵に対する最も強力な武器だからです。神は祈りに応えて一人のみ使いを遣わし、敵を全滅させました（21,22節）。主は祈るものに答えてくださいます。神は「苦難の日には私を呼べ」と言われます（詩篇50:15）。「神は我らの避け所また力」であり（詩篇46:1）、「万軍の主はわれらと共におられる」のです（詩篇46:7）。

　このような素晴らしいヒゼキヤ王でしたが、心を高ぶらせ、神の御怒りがユダとエルサレムの上に下りました（第Ⅱ歴代誌32:25）。私たちには、決して失敗することのない完全な王がおられるのです。東方の博士たちは、ユダヤ人の王を礼拝するためにベツレヘムへ行きました（マタイ2:1~12）。

　イエス様こそ、完全な王、「王の王、主の主」（黙示録19:16）です。マタイの福音書には、イエス様がダビデ王の子孫としてお生まれになったこと（1:1~16）、預言のとおりに王としてロバに乗ってエルサレムに入場されたこと（21:4,5）、十字架にはユダヤ人の王と書かれてあったことを記し（27:37）、イエス様がまことの王であることを示しています。

　イエス様はよみがえり、天に昇り、天地の一切の権威を所有しておられます（28:18）。教会のかしらであり（コロサイ1:18）、悪魔のわざを打ち壊し（へブル2:14）イエス・キリストは王としてあらゆるものを治め、最後に死をも滅ぼされます（第Ⅰコリント15:25,26）。

　このクリスマスを待ち望む季節、もう一度主イエス・キリストこそ我らの避け所、救い主、まことの王であることを心に留めましょう。まことの王であるお方が、私たちを救うために、へりくだって私たちのところに来てくださった大きな恵みを感謝しましょう！