和解の務め

序

　コリント教会には偽使徒たちが入り込み、教会を混乱させていました。彼らはユダヤ人で教会からの推薦状を持っていると主張していました。しかし、パウロには推薦状がなかったことで、偽使徒たちはコリントの信徒たちに、パウロは使徒ではないと言い広め、パウロの信用を落としました。そもそもコリント教会はパウロが開拓伝道した教会であり、コリント教会の人々こそがパウロの推薦状であり、生ける手紙なのです。

　しかも、パウロが教会から援助を求めなかったのは、使徒ではなかったからだと批判しました。実は、パウロはコリント教会に負担をかけまいと援助を求めなかったのです。彼はコリントでは、マケドニアからの援助と最初は天幕作りをして働きながら伝道したのです。そして、彼らはパウロが伝えた純粋な福音まで否定したのです。彼らは神の言葉を水増ししました。しかし、パウロは福音のためのどんな試練があっても、自分の務め（福音宣教）が勝利を得ると語ります（第Ⅱコリント1~2章）。

　偽使徒たちはユダヤ主義者であり、律法を重んじました。3章で、パウロは律法（文字）の務めと福音（御霊）に仕える務めを対比します。そして、福音に仕える務めがどれほど栄光に輝くものであることかを語りました。反対者たちは、パウロがその務めを自分の利益のために利用していると非難しました。パウロは自分の務めが真実であり（4章）神への信仰に基づくことであることを明らかにしました（5章）。また、この世の影響を受け、偶像崇拝や不道徳に陥りがちなコリント教会の人々に、この世からの分離を勧めました（6章後半）。　 　

1. 和解の務め（5:18～21）

　すべての人は罪人ですから神に反逆し、神の敵となり神との交わりを失ってしまいました。ただ十字架の贖いのみ業のゆえに、イエス・キリストによって人は神と和解できるのです。キリストが十字架で私たちの罪を代わりに負ってくださったので、私たちが負うべき罪のすべての代価が支払われたのです。神はキリストのゆえに、私たちを義と認めてくださいました （5:21）。ですから、イエス・キリストを信じる者は、罪を赦されることができるのです （ローマ4:1~8）。

　神と和解さしていただいた私たちは、キリストの使節として神の和解のメッセージを伝える責任があります。

2. パウロとコリント教会のとの和解（7:2～10）

　パウロが献金を集める時、不正をしていると非難する人々がいました。そのような中でも、パウロはコリント教会の人々を信頼していました。彼ら大いに誇りとしていました（7:4）。キリストにある慰めは、どんな困難の中にも、それを乗り越えさせる力となるのです。テトスがコリント教会の人々に受け入れられたという報告を聞いてパウロは勇気づけられました。コリント教会の人々はパウロの厳しい手紙を読んで罪を悔い改め、問題を起こした会員を戒規処分にしました。パウロは厳しい手紙を書いた後、彼らが悔い改めて、テトスを受け入れてくれるかどうか心配しました。しかし、その手紙でコリント教会の人々は悔い改めたのです。それは罪を悲しむ、神の御心に添った悲しみだったのです（7:10）。

　私たちも悔い改める必要があります（ルカ17: 3～4）。ヨハネの黙示録2～3章の7つの教会のうち4つまでが悔い改めるように命じられています。神との交わりを回復するためには、まず罪を悔い改めることが必要です。このようなコリント教会の様子を聞いてパウロは勇気づけられました。問題が解決した今、すべてのことが益となったのです。

　そこなわれた関係を立て直すことは大変なことです。あなたには、家庭で、教会で、宣教の働きの中で損なわれた関係がありますか。その関係回復のためには、まず神との正しい関係を求めることが第一歩なのです。