神が知らせてくださる

序

　通読箇所が、久しぶりに創世記になります。創世記は「はじめに神が天と地を創造された。」（1:1）で、始まります。太陽や星、月は神ではありません。それらは、神が創造されたものです。聖書の神は全てのものの創造者なのです。

　神はアブラハムという人物を選び、全世界を祝福しようと計画されました（12:1～3）。37:2からは、アブラハムの孫のヤコブの歴史が記されています。ヤコブには12人の息子がいました。その11番目がヨセフでした。

　ヨセフは自分の家族の者が自分にお辞儀をするという夢を見ました（37:5以下）。それで、ヨセフは「夢見る人」と言われました（37:19）。ヨセフは父に特別に可愛がられ、他の兄達から妬まれたためにエジプトへ売り飛ばされました。エジプトで奴隷となりましたが、全てのことに於いて祝福されたため、主人から認められました。しかし、主人の妻の悪巧みによって、ヨセフは無罪なのに牢に入れられてしまいました。牢の中で、ヨセフは2人の夢の解き明かしをしました（40:5以下）。ところが、夢を解き明かしてもらった献酌官はヨセフとの約束を忘れたのです。

1. 王の夢（41:1～8）

　それから2年経った時、王は2つの夢を見ました。1つ目はナイル川から7頭の肉付きの良い雌牛が上がってきて、その後、痩せた7頭の雌牛が上がってきて、先の肉付きの良い雌牛を食べ尽くす夢でした。2つ目は、良く実った7つの穂がしなびた7つの穂に飲み込まれるという夢でした。心が騒いだ王は、呪法師たちに夢の解き明かしを求めましたが、誰も解き明かすことができません。その時、献酌官はヨセフのことを思い出しました。

　神のなさる事は、全て時にかなって麗しいのです（伝道者3:1～14）。献酌官が忘れていたこの2年間が神の時だったのです。もし、2年前すぐに献酌官が取り成しをしていたら、釈放され故郷に返された可能性もあり、ヨセフが夢を解き明かすこともなく、エジプトの総理大臣になることもなかったかもしれません。こうしてヨセフは、17歳の時（創世記37:2）に奴隷として売り飛ばされ、30歳にしてエジプトの王に仕えるようになりました。この13年間は、神のヨセフに対する訓練の時でした。必要なのは忍耐です（ヘブル10: 36）。

2. 神に教えられるヨセフ（41:9～16）

　ヨセフはエジプトの王のところに連れてこられました。ヨセフは「私ではありません。神がファラオの繁栄を知らせてくださるのです。」と答えました。即ち、神が夢の解き明かしをされるのだと語ったのです。夢の内容は、7年間の豊作と7年間の飢饉の預言でした。王は驚き、ヨセフを総理大臣の地位につけました。ヨセフは自分を誇らずにただ神を誇り、神から教えられたことを語ったのです。

　その後、ヨセフは結婚し2人の男の子が与えられました。1人は「神が労苦を忘れさせてくださった」という意味でマナセと名づけました。もう1人は「神が私を実り多い者にしてくださった」という意味でエフライムと名づけました（41:51,52）。ここでもヨセフは、「神が」「神が」と、顧みてくださる神を崇めています。ヨセフは、どんなときにも神の深い計画を信じ、神に信頼して歩みました。主はいつもヨセフと共におられました（39:2,3,21,23）。主を信じるなら主はいつも私たちと共にいてくださいます。

　そして、囚人が1日のうちに総理大臣になるということは大きな驚きです。しかし、それ以上の大きな驚きは、罪人である私たちがイエスキリストを信じる時、神の子とされるという大きな恵みです（エペソ2:4～5）。