主はかなめの石

序

　祭司長たちはイエスさまが何の権威で、これらのこと（宮清めや教え）をしておられるのですかと質問しました。イエスさまはバプテスマの権威について質問することによって、ご自分の権威を示そうとされます。しかし、かれらは、「分かりません。」と答えるので、イエスさまも何の権威によって自分が行動しているかを答えられません。

1. 悪い農夫のたとえ

　それからイエスさまは、ユダヤ教の指導者たちの罪について、たとえで語られます。

　ぶどう園の主人は、ぶどう園を造り、全ての設備を整えてから、農夫たちにそれを貸してあげます。やがて収穫の時になったので、ぶどう園の収穫の一部を受け取るため、農夫たちのところにしもべを遣わします。しかし、主人がしもべを何度遣わしても、農夫たちは、しもべを打ちたたいたり、殺したりしてしまいます。最後に、主人は、愛する息子ならきっと敬ってくれると信じ、農夫たちのところに息子を遣わします。しかし、農夫たちは、その息子さえも殺して、ぶどう園の外に投げ捨ててしまいます。ぶどう園の主人は、農夫たちを殺し、ぶどう園をほかの人たちに与えてしまいます。

　このたとえにおいて、ぶどう園の農夫はイスラエルの民、主人は神さま、しもべたちは預言者たち、愛する息子はイエスさまのことを示しています。イエスさまはこのたとえで、ご自分が神によって遣わされた救い主であり、やがて神のみ旨によってイスラエルの民に殺されることを示しています。実際にイスラエルの民はイエスさまを殺してしまいます。その後、神は、イスラエルの民をさばき、選民の特権をユダヤ民族から主を信じる異邦人に与えられました。

これは、聖書の預言の成就でした。マルコ12:10,11は詩篇の引用です。神のさばきと、殺された神の独り子との関係が説明されています。

家を建てる者たちが捨てた石、 それが要の石となった。 これは主がなさったこと。 私たちの目には不思議なことだ。（詩篇118篇:22,23）

　かなめの石は、建物全体の重要な位置を示す石です。イエスさまは、人の目から見れば見栄えのしない石として捨てられました。ところが、神の目には、選ばれた生ける石なのです。 ペテロは、同じ詩篇を用いて、ユダヤ人に殺されたイエスさまが、復活、昇天し、教会のかしらとなられたと、説教しています。（使徒4:10,11） このように、悪い農夫に殺された主人の一人息子、神の御子イエスさまは、よみがえり、神の家(教会）の土台となられたのです。(エペソ2:20）

2. 適用

　イエスさまは、神に選ばれた尊い生ける石です。（第一ペテロ 2:4） また、イエスさまを信じた私たちもまた、生ける石なのです。

あなたがた自身も生ける石として霊の家に築き上げられ、神に喜ばれる霊のいけにえをイエス・キリストを通して献げる、聖なる祭司となります。（第一ペテロ 2:5）

私たち一人一人が霊の家（教会）を築きあげるのです。また、神に喜ばれる、いけにえを献げる祭司となるのです。 具体的には、賛美と祈りを神にささげ、よき行いをし、他の人を助けるのです。

それなら、私たちはイエスを通して、賛美のいけにえ、御名をたたえる唇の果実を、絶えず神にささげようではありませんか。善を行うことと、分かち合うことを忘れてはいけません。そのようないけにえを、神は喜ばれるのです。（へブル 13:15-16）

また、自分自身を神にささげるのです。

ですから、兄弟たち、私は神のあわれみによって、あなたがたに勧めます。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。それこそ、あなたがたにふさわしい礼拝です。（ローマ12章1節）

　主のもとに、行って、主の十字架を見上げましょう。そして、聖なる祭司として、神に喜ばれるいけにえをささげましょう。