神にはできる。

序

　「イエスに触れていただこうと、人々が子どもたちを連れて来た」（マルコ10:13）時、弟子たちは人々を叱りました。それを見てイエス様は、「子どもたちを私のところに来させなさい。邪魔してはいけません。神の国はこのよう者たちのものなのです。…」と言われました。イエス様は子どもたちを抱き、彼らの上に手を置いて祝福されました（16節）。イエス様は子どものように神の国を受け入れ、イエス様を受け入れる者を祝福してくださるのです。十字架にかかり、よみがえってくださった生けるイエス様が私たちに触れてくださるのです。救いは神の恵みなのです。この神の恵みがわかるときに、私たちはイエス様について行くことができるのです。

　道に出ると、一人の人が走り寄って、イエス様に永遠のいのちについて質問しました。この青年は真面目に神を求めていましたが、間違いがありました。「何をしたら良いでしょうか」（17節）と言う言い方でわかるように、彼は自分の努力で永遠のいのちを受け継ぐことができると考え、自分の弱さを知らずに、自分を過信していたのです。

　イエス様は絶対的な意味において、「良い方」（18節）は神のみであることを強調されました。イエス様は父なる神に服従し、父なる神の意思によって行動されていたので（ヨハネ5:19）、そう言われたのです。この人はこのような絶対的基準を持つ神の前に立つときに、罪を意識するはずでした。さらにイエス様はこの人に、いっそう具体的に罪の自覚を生じさせるために、モーセの十戒の後半を引用されました。すると彼は、「少年のころから、それら全てを守ってきました」と答えました。彼は自分の中に潜む自己中心的な考え方や、自分の弱さ、罪には少しも気づいていませんでした。

　イエス様はその人に、持ち物を売り払って貧しい人に与え天に宝を積み、イエス様に従うことを求められました。しかし、この富める青年は、自分の努力で永遠のいのちを得ようとしたために、イエス様の言われたことを実行することができず、悲しみながら去っていきました。

1.神にはできる（マルコ10:23～27）

　イエス様は去っていく青年の後ろ姿を見送ると、弟子たちに「富を持つ者が神の国に入るのは、なんと難しいことでしょう。」（23節）と言われました。「金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうが易しい」（25節）とも言われました。イエス様は富んでいること、それ自体が悪であるとは言っているのではなく、富は神の国に入る妨げとなるので、注意するようにと教えられたのです。ですから「まず神の国と神の義を第一に求めなさい」（マタイ6:33）と命じられました。また、「地とそこに満ちているもの 世界とその中に住んでいるもの それは主のもの」（詩篇24:1）とあるように全ては、神の物です。私たちは神からの預かり物であるこの世の財産を、自分の物のように思い違えて、それを握りしめてはいけません。

　弟子たちはイエス様の言葉に、「それでは誰が救われることができるでしょう」と、困惑しました。弟子たちは、金持ちとは神に祝福された者であると思っていたのです。それに対してイエス様は「それは人にはできないことです。…神にはどんなことでもできるのです。」（マルコ10:27）と答えました。神は全能の方で、人間を金銭と言う偶像から解放してくださいます。自分の力ではできないことを知り、神に信頼し、お任せしましょう！こうして弱い私たちも救われ、神の国に入ることができるのです。

2.先の者が後になり（マルコ10:28～31）

　次にペテロは自慢げに「私たちはすべてを捨てて、あなたに従って来ました」と言いました。それに答えてイエス様は、祝福を与えられました（10:29、30）。弟子たちは全てを捨てて、イエス様に従ったために、今の世では百倍の祝福を受け、来たるべき世では永遠のいのちを受けます。

　しかし、すべてを捨ててイエス様に従っていても、それを誇って、自己満足に陥るならば、他の者に追い越されてしまいます。すべては神の恵みなのです。それを忘れてはいけません。31節の言葉は、弟子たちの自己満足や優越感を戒める警告でした。へりくだり、子どものようにイエス様を受け入れ、神の恵みに感謝して、イエス様に従っていきましょう！