神に喜ばれる礼拝

序

　「こういうわけで、このように多くの証人たちが、雲のように私たちを取り巻いているのですから、私たちも、一切の重荷とまとわりつく罪を捨てて、自分の前に置かれている競走を、忍耐をもって走り続けようではありませんか。」（ヘブル12:1）と私たちに呼びかけています。

　11章の信仰者たちは、約束されたものを得ませんでした。「神は私たちのために、もっとすぐれたものを用意しておられ」（40節）ます。「もっとすぐれた希望」（7:19）、「もっとすぐれた契約」（7:22）、「もっとすぐれた…財産」（10:34）、「もっとすぐれたよみがえり」（11:35）などです。そのためには、「信仰の創始者であり完成者であるイエスから、目を離さない」（12:2）ことです。

　それとともに、私たちは多くの神の訓練を必要としています。というのは、神と私たちの交わりを妨げる罪が、私たちの内に残っているからです。霊の⽗は私たちに、まとわりつく罪を捨てさせるために、訓練（懲らしめ）を与えられます。神は私たちが「罪と戦って、まだ血を流すまで抵抗したことが」（4節）ないので、訓練するのです。神は、愛する者を⾃分の罪に気づかせ、それを捨てさせ、罪と戦うことができる者となるように懲らしめるのです。

1.聖さを求める（ヘブル12:14～17）

　「すべての人との平和を追い求め、聖さを追い求めなさい」（14節）と教えられています。イエス様も「平和をつくる者」に与えられる祝福を教えられました（マタイ5:9）。また、パウロも「すべての人と平和を保ちなさい」（ローマ12: 18）と教えました。

　神を見る者は「心のきよい者」だけです（マタイ5:8）。パウロも「神のみこころは、あなたがたが聖なる者となることです。あなたがたが淫らな行いを避け」るようにと（第Ⅰテサロニケ4:3）、教えています。このような聖さを追い求めるなら、きよめを害する傾向のあるものを見破り、それを避けることができます。ヘブル12:16から私たちも、エサウの失敗（創世記25:34）を反⾯教師として、罪を犯してはならないと学ぶのです。エサウの生涯から教えられる失敗は、俗悪さです。それは、霊的価値に対する無感覚さです。彼は、神の約束と固く結ばれている長子の権利を全く軽視したことで、後になってこの軽率な行為を悔やみました。しかし、事態を変えることはできませんでした。それゆえ、神があなたがたにひとたび与えられた長子の権利を、決してないがしろにしてはならない（神の恵みから落ちることがないように）という警告が、私たちにされているのです。

2.神の都に近づく（ヘブル12:18～29）

　キリスト者の特権は手で触れることのできる山ではなく、天にあるシオンの山に近づいていることです。そのことが様々な言葉で表現されています。「生ける神の都である天上のエルサレム」（22節）は、新しい神の民イスラエル（そこには異邦⼈であるキリスト者も、キリストを信じるユダヤ⼈も含めた⼈々）が集う中⼼的な場所なのです。また、そこは、「無数の御使いたちの喜びの集い」が⾏われる場所です。イエス様が、御使いが⼤喜びをしている光景のことを話された箇所があります。「 あなたがたに言います。それと同じように、一人の罪人が悔い改めるなら、神の御使いたちの前には喜びがあるのです。」（ルカ 15:10） 　御使いは、私たち⼈間に仕えるように、神によって創造されました。ですから、私たちが悔い改めて神のもとに帰るなら、御使いたちは、こぞって天で喜びの声を上げて、大祝会を催すのです。まして時が満ちて、天国が完成する暁には、多くの神の⼦たちも、そこにいるわけです。「天に登録されている長子たちの教会」（ヘブル12:23）とあるように集団です。皆で共に喜ぶのです。長子であるキリストとの一体性によって、私たちも長子たちなのです。キリスト以前の信者（義人）は、キリストが来られたことにより完全な者とされるのです。そこには、信じる者にきよめと赦しを与える「イエスの血」があります。

　モーセの時代に、律法が与えられたときの状況は恐ろしいものでした。福音に伴う特権は、それらを軽蔑したり、拒絶する場合、はるかに恐ろしいものとなります（25節）。

　キリスト者は生ける神の都を目指して走っているのですから、語っておられるお方（神）に背を向けず、聞き続け、きよさと平和を求めるのです。私たちは揺り動かされない御国を受けているのですから、感謝と敬虔と恐れを持って神に喜ばれるように、礼拝しましょう（28節）！